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米国で新生児へのビタミンK注射を拒否する親が増加

ビタミンKは血液を正常に凝固させるために不可欠な栄養素だが、新生児は体内のビタミンKが非常に少ない。
新生児(Getty Images)

米国で新生児に対する「ビタミンK」注射の拒否が増加していると医師らが警鐘を鳴らしている。ビタミンK注射は出生直後に新生児へ投与されることで、重篤な出血を防ぐ役割を果たしてきたが、近年これを拒否する親が増え、専門家は「重大な健康リスクを招く可能性がある」と警告している。

ビタミンKは血液を正常に凝固させるために不可欠な栄養素だが、新生児は体内のビタミンKが非常に少ない。このため、出生直後に注射を行うことでビタミンK欠乏性出血(VKDB) を予防し、頭蓋内出血や内臓出血など重篤な出血症状を防ぐのが標準的な医療行為とされてきた。疾病対策センター(CDC)によると、この注射を受けない場合、VKDBを発症するリスクは80倍以上に高まるという。

米国では1960年代初頭からこの注射が標準的なケアとして推奨されており、実施されるようになって以降、VKDBの発生は著しく減少した。だが、最新の研究では、新生児が出生時にビタミンK注射を受けない割合がここ数年で増加していることが判明した。2017年には約3%だった接種拒否率が、2024年には5.2%にまで上昇し、この年の推計で約19万人の新生児が注射を受けなかったとされる。

医師らはこの傾向を非常に懸念している。注射を拒否する親の多くが誤った情報や医療不信に基づいて判断しているという。具体的には、注射に含まれる保存料への不安や、ワクチンと混同している事例があるという。だが専門家は、「ビタミンKはワクチンではなく安全なサプリメントであり、この注射の利益は明確だ」と述べている。

ビタミンK注射を受けない場合、出血は全身のどこでも起こり得るが、とりわけ脳内出血のリスクが重篤であると医療専門家は強調する。急速に発達する乳幼児の脳周辺の血管は破れやすく、出血が起きた場合、生命に関わるか、恒久的な障害を残す可能性が高いとされる。また、臍帯部や割礼後の出血が止まりにくくなるケースも多いという。

これに対して、ビタミンK注射による副反応は極めてまれであり、局所的な赤みや軽い刺激程度が報告されるのみで、深刻な合併症はほとんどない。口から投与するビタミンK製剤も存在するが、複数回の投与が必要で、吸収量が不確実なため、米国の医療機関では標準的な選択肢とはされていない。

米国の医療関係者は、親がこの注射を拒否する前に信頼できる医療提供者と十分に相談することを強く勧めている。専門家は、「この注射は長年にわたり多くの研究と臨床データで安全性が確認されており、子どもの健康を守る上で重要な介入だ」と指摘している。

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