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強盗殺人犯を「誤って」保釈、捜索の末逮捕 米オレゴン州

当局は25日、オレゴン州フローレンスのガソリンスタンドで午後1時ごろに容疑者を逮捕したと明らかにした。
2025年9月22日/米オレゴン州マルトノマ郡、誤って保釈されたタイ・アンソニー・セージ容疑者の写真(Multnomah County Sheriff's Office)

オレゴン州の捜査当局は25日、今週初めに「誤って保釈」された容疑者を逮捕したと発表した。

マルトノマ郡保安官事務所によると、第2級殺人罪と第1級強盗罪で起訴されたタイ・アンソニー・セージ(Ty Anthony Sage、26歳)被告は9月22日、何らかの手違いにより保釈されたという。

マルトノマ郡保安官事務所のオドネル(Nicole Morrisey O'Donnell)保安官は24日の記者会見で、「このような事態は絶対あってはならず、強盗殺人犯が保釈された経緯を調べている」と述べていた。

当局は25日、オレゴン州フローレンスのガソリンスタンドで午後1時ごろに容疑者を逮捕したと明らかにした。

容疑者は15歳の少年を殺害したとして、5月20日に逮捕された。

オドネル氏によると、9月17日付で被告の保釈金が5000ドルに設定されたことを示す保釈命令書が発行されていたという。

しかし、ABCニュースによると、裁判所は被告の保釈申請をすでに却下していた。当局はこの命令書が作成された経緯を調べている。

米国における保釈制度は被告人が刑事事件で逮捕・起訴された際に、公判まで身柄を拘束せず一時的に釈放するための仕組みである。基本的には裁判所が定めた一定額の金銭、保釈金を納付することで、被告人は釈放される。保釈金は被告人が公判期日に出廷する保証として機能し、出廷すれば返還されるが、逃亡や出廷拒否があれば没収される。

金額は罪の重大性、被告人の前科、逃亡や証拠隠滅の恐れなどを考慮して裁判官が決定する。資力のある者は容易に釈放される一方、経済的に困窮する者は軽微な罪でも拘束され続ける場合があるため、不平等が問題視されてきた。そこで多くの被告は「ベイルボンド業者」を利用する。これは被告が全額を支払えない場合に、業者が裁判所に保証金を立て替え、被告はその一部を手数料として支払う仕組みである。しかしこの制度は貧困層に不利で、業者の利益を助長すると批判されている。

近年は刑事司法改革の一環として、軽微な犯罪については保釈金を不要とする州や、逃亡の危険性に基づき釈放判断を行う州も増えている。とはいえ、州ごとに制度の内容や運用は大きく異なり、全米で統一されているわけではない。

第2級殺人罪で起訴された被告が保釈を認められるかどうかは、州や裁判所の判断によるが、一般的には認められる可能性がある。ただし、その場合でも非常に慎重な判断が求められる。第2級殺人罪は計画的でなく衝動的な殺人を指し、罪の重さに応じて保釈が決定される。裁判所は被告の逃亡のリスク、証拠隠滅の恐れ、社会に与える危険性などを総合的に考慮する。

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