◎ダリエン地峡に入る移民は1日2000人と推定されており、その多くがコロンビアから海路でパナマに不法入国した人々である。
2024年2月29日/コロンビアとパナマの国境「ダリエン地峡」の入り口(Arnulfo Franco/AP通信)

パナマとコロンビアの間にある危険な密林地帯「ダリエン地峡(Darien Gap)」の入り口に移民を運んでいた密航船の船長が逮捕され、米国への移住を希望する数千人の移民が立ち往生している。コロンビアの警察当局が29日、明らかにした。

それによると、警察が北部の港で人身売買に関与したとされる船長2人を逮捕した結果、8000人もの移民が行き場を失ったという。

ダリエン地峡に入る移民は1日2000人と推定されており、その多くがコロンビアから海路でパナマに不法入国した人々である。

コロンビアの人権団体はAP通信の取材に対し、「パナマへの入国を目指す移民の行列ができており、この地域で活動するNGOや医療当局者が対応に苦慮している」と語った。

それによると、子供と女性を含む数千人が食料の確保に苦労し、体調不良を訴える人が急増しているという。

人権団体は「最も弱い立場の移民が危機的な状況に置かれているため、中央政府に緊急支援を要請した」と明らかにした。

米国と中南諸国は移民の急増に対処すべく、国境警備を強化し、人身売買組織を積極的に摘発している。

バイデン(Joe Biden)米大統領は今年11月の大統領選の争点のひとつになっている移民問題を受け、コロンビアをはじめとするな南米諸国に対し、米南部国境に向かう移民を取り締まるよう圧力をかけている。

中南米諸国は対策を強化したものの、それでもダリエン地峡に向かう移民の流れを止めることはできていない。

ダリエン地峡とその周辺地域はコロンビア最大の麻薬密売組織「クラン・デル・ゴルフォ(Gulf Clan)」の支配下に置かれており、その多くが無法地帯となっている。

昨年ダリエン地峡を通過した移民は50万人を突破。過去最高を大幅に更新した。

そこを通過した移民は中米とメキシコを巻き込んで米テキサス州などを目指す。米当局が昨年拘束した移民は250万人に達した。

前例のない移民の流入は米大統領選の争点のひとつになっている。バイデン氏とトランプ(Donald Trump)前大統領は1日に南部の国境を視察する予定だ。

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