メキシコ大統領、移民死亡事件受けトランプ政権に調査要求
シェインバウム氏は朝の定例会見で、「2人目のメキシコ人男性が23日に米国内の病院で亡くなった」と述べ、「おそらく拘束が原因だ」と付け加えた。
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メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は24日、米国で死亡した2人のメキシコ移民について、トランプ政権に書簡を送り、説明を求めたと明らかにした。
1人は移民税関捜査局(ICE)の隊員に射殺され、もう1人は拘束後に病院で死亡した。
シェインバウム氏は朝の定例会見で、「2人目のメキシコ人男性が23日に米国内の病院で亡くなった」と述べ、「おそらく拘束が原因だ」と付け加えた。
またシェインバウム氏は「2つのケースについて、米政府に書簡を送り、あらゆる調査の実施と説明を求め、必要に応じて制裁を科すよう要請した」と述べた。
ICEは9月12日、イリノイ州シカゴでミチョアカン州出身のメキシコ人男性を射殺した。
この男性は近くの小学校と保育所に2人の子供を送り届けた直後、ICE職員に車を止められ、最終的に射殺された。
第二次トランプ政権における移民取り締まり政策は、前政権期以上に強硬な姿勢を示している。政権は2025年の発足直後から、国境管理の強化と国内に居住する不法移民の排除を最優先課題とし、複数の大統領令や立法措置を通じて制度を拡張してきた。中でも特徴的なのは、迅速送還の適用範囲を拡大し、裁判所での異議申し立てを制限する方針である。これにより、越境直後の逮捕者だけでなく、米国内に一定期間滞在していた移民も即時に強制送還される可能性が高まった。また、移民手続き中の個人がUSCISや裁判所を訪れる場での逮捕も増加しており、合法的な申請を行っている移民にも萎縮効果を与えている。
さらに政権は聖域都市に対し、連邦資金の交付を停止する措置を打ち出した。地方自治体が移民当局への協力を拒否すれば予算上の制裁を科す方針だが、これはすでに複数の州や都市によって合憲性を争う訴訟が提起されている。議会でも「レイケン・ライリー法」が成立し、一定の犯罪歴を持つ移民を保釈なしで拘束する義務が課され、拘留施設の拡充や送還対象の拡大が制度化された。また政権は「1日3000人逮捕」という目標を掲げ、ICEや国土安全保障省に対し徹底した取り締まりを指示している。しかし実際には暴力犯罪者よりも前科のない移民や軽微な違反者が多数を占め、過剰な取り締まりとの批判が強い。
加えて、合法的に入国する移民に対する規制も厳格化された。学生ビザや研究者ビザの滞在期間に制限を設け、再審査や追加調査を義務づける新規則が提案されている。さらにバイオメトリクス情報の収集拡大や、仮滞在許可制度(パロール)の打ち切り、難民・庇護関連プログラムの縮小も進められている。これらは国家安全保障を名目にした措置であるが、移民の権利を不当に制限し、米国の労働市場や学術・研究活動にも悪影響を与えると懸念される。
このような政策は、法的な問題、人権侵害の恐れ、地方自治体との対立、そして労働力不足による経済的影響を引き起こしている。裁判所はすでにいくつかの措置を差し止めており、政権の強硬策がどこまで実現可能かは不透明である。しかし全体として、第二次トランプ政権は移民を国家的脅威とみなし、取り締まりと排除を軸にした政策を制度化することで、米国の移民制度を大きく変容させつつあるといえる。