メキシコ大統領、トランプ関税への報復示唆「最悪のシナリオ想定」
トランプ氏は最大の貿易相手国であるメキシコが麻薬カルテルを阻止するために十分な措置を取っていないと非難している。
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メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は15日、トランプ米政権が設定した8月1日の相互関税発動期限までに米国との合意に達しなかった場合、行動する用意があると述べ、報復を示唆した。
トランプ氏は12日、8月1日からメキシコおよびEUからのほとんどの輸入品に30%の関税を課すと発表。他の国々にも同様の警告を発し、「米国が納得する協定」を3週間以内に締結するよう迫った。
トランプ氏は最大の貿易相手国であるメキシコが麻薬カルテルを阻止するために十分な措置を取っていないと非難している。
シェインバウム氏は定例会見で、「合意に達することを願っているが、8月1日までに結果が出なかった場合、我々が取る措置について発表することになるだろう」と語った。
またシェインバウム氏は米国がメキシコ産生鮮トマトに対する反ダンピング(不当廉売)調査を一時停止する合意から離脱し、メキシコ産輸入トマトの大半に17.09%の関税を課すと発表したことについて、「来週、トマト生産者とともに、これに関連する措置を発表したい」と述べた。
さらに、「あらゆるシナリオに備える必要がある」と述べ、「代替案を用意しておかなければならない」とした。
トランプ氏はメキシコが米国への合成麻薬フェンタニルの密輸を阻止できなかったと非難している。
フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性があり、その効果はモルヒネの100倍、ヘロインの50倍といわれている。米国に流入するフェンタニルの99.99%がメキシコ産である。
米国では過去10年間で45万人以上が合成オピオイドの過剰摂取で死亡、数百万人が中毒になっている。その最大の要因がフェンタニルである。
米疾病対策センター(CDC)によると、24年の全米の薬物過剰摂取による死者数は8万391人。過去5年間で最も少なくなった。23年は11万37人であった。