メキシコ大統領、米国との「水条約」履行難しい、乾燥で水供給できず
この条約では、メキシコは5年間で170万エーカー・フィートの水を米側に供給する義務がある。これは年間平均で約35万エーカー・フィートに相当する。
とトランプ米大統領(Getty-Images/AFP通信)-1.jpg)
メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は9日、米国との1944年の水共有条約(コロラド川協定)について、米国への追加の水供給を行う意思を示したが、「即時ではない」と明言した。
これはトランプ政権が水供給の履行を強く求めるなかでの発言であり、米側の圧力と両国間の緊張を反映したものだ。
シェインバウム氏は定例会見で、今月の一部供給と、将来的な追加供給の両方を提案しており、この案は米国政府とのオンライン会合で協議される予定だと語った。
ただし、旱魃(かんばつ)と水道インフラの制約によって、メキシコは現在、米国への水供給義務を十分に果たせていないと認めた。
この条約では、メキシコは5年間で170万エーカー・フィートの水を米側に供給する義務がある。これは年間平均で約35万エーカー・フィートに相当する。
しかし近年の干ばつや水源の減少で、メキシコはこの量を下回る供給しかできておらず、その結果、水不足が米国内の農業に影響を及ぼしているとの指摘がある。
この状況を受けて、トランプ(Donald Trump)米大統領は即時の供給がなければ、メキシコ製品に対する輸入関税を5%上乗せすると警告した。またトランプ氏は年末までに20万エーカー・フィートを供給するよう要求し、それが実現しなければ関税強化に踏み切る構えを示していた。
このような米国の圧力に対し、シェインバウム氏はメキシコとして「過去数年にわたる義務分の水を可能な限り納める意思がある」と述べた。ただし、「国内の乾燥状況や水の利用事情を考慮すれば、即座にすべてを満たすことは不可能だ」と説明し、余裕のある段階での供給を求めた。
両国の対立は、ただの水資源の供給問題にとどまらず、農業や貿易、外交関係を巡る包括的な摩擦へと広がっている。メキシコ側は国内の水資源保全と市民生活の状況を優先する構えをみせる一方、米国は条約の履行を強く求めており、今後の協議の行方が注目される。
メキシコと米当局のオンライン協議はこの数日中に行われる見通しで、そこで今後の水供給スケジュールや条件、関税の回避可能性などについて協議される予定だ。両国が妥協点を見いだせるかどうかに注目が集まっている。
