SHARE:

2025年の世界金融市場、金の急騰とドル弱含み

金は伝統的な安全資産としての役割を発揮し、1979年の石油危機以来の大幅上昇となる約70%高を記録し、世界的な地政学的リスクやドル安観測の広がりを背景に買われた。
金の延べ棒(Getty Images)

2025年の世界金融市場は変動の大きい1年となり、株式、為替、債券、商品市場が予想外の展開を見せた。トランプ(Donald Trump)大統領の復帰を受けて投資家の間には「異例の年になる」という認識が広がっていたが、実際の市場動向はさらに波乱に満ちたものとなった。世界株式市場は年初の関税ショックから回復し、総合指数は2025年を通じて約21%上昇、過去7年間で6度目の二桁上昇を記録した。

注目されたのは金(ゴールド)の急騰である。金は伝統的な安全資産としての役割を発揮し、1979年の石油危機以来の大幅上昇となる約70%高を記録し、世界的な地政学的リスクやドル安観測の広がりを背景に買われた。金価格の上昇は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待と米ドルの弱含みというマクロ環境が影響しており、連邦公開市場委員会(FOMC)に関する市場の予想では追加利下げが織り込まれた。

一方で、米ドルは対主要通貨でほぼ10%下落し、投資家のリスク志向の変化を示した。ユーロやスイスフランはドルに対してそれぞれ大幅に上昇し、新興市場通貨も堅調な値動きを見せた。中国人民元が1ドル=7を突破するなど、為替市場ではドル弱気の流れが鮮明だった。

株式セクターでは米国ハイテク株「マグニフィセント・セブン」が勢いを失う一方で、欧州の防衛関連株が大きく上昇し、銀行株も1997年以来の好パフォーマンスを示した。韓国株式市場も70%近い上昇となり、デフォルトしたベネズエラ国債はほぼ2倍のリターンを記録した。

商品市場では金だけでなく、銀とプラチナもそれぞれ165%、145%の大幅上昇を遂げた。これらの貴金属価格の急騰は供給制約や工業需要の増加、中央銀行による買い入れが重なった結果であり、投資家の対インフレ・安全志向を反映している。

債券市場では米国の長期金利が年央にかけて上昇し、30年物国債利回りは一時5.1%を超える局面もあったが、その後再び低下した。しかし、全般的なボラティリティは低下し、地政学的課題や貿易摩擦が影響する中でも債券市場の安定感が見られた。

通貨市場では、南アフリカのランドが対ドルで約13%の上昇を記録し、16年ぶりの高パフォーマンスとなった。これには財政健全化の進展やインフレ抑制、主要輸出品である金・白金の価格上昇が寄与している。ドル安の流れが続いたことで、新興国通貨への資金流入が進んだ。

エネルギー市場は弱含みとなり、原油相場は年初から約17%下落した。これは供給過剰懸念と成長見通しの不透明感が背景にある。また、仮想通貨市場ではビットコインが年後半に約3分の1の下落となるなど、リスク資産の価格変動が激しかった。

総じて2025年は安全資産への需要が高まる一方で、伝統的な株式・為替市場との相関が薄れるなど、投資家のポートフォリオ戦略に大きな再考を迫る年となった。金をはじめとする安全資産の好調はドル弱含みや地政学リスクの高まりが今後も市場のキードライバーとなる可能性を示唆している。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします