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米イラン紛争、高濃縮ウラン回収には大隊が必要、地上戦のリスクも


背景には、イランが保有する核兵器級に近い濃縮ウランの存在と、その所在をめぐる国際的な懸念がある。
米軍の特殊部隊(Getty Images)

米国がイランの高濃縮ウランを確保するために地上作戦を実施する場合、大規模な特殊部隊の投入が必要になるとの見方を、軍事・核問題の専門家が示している。背景には、イランが保有する核兵器級に近い濃縮ウランの存在と、その所在をめぐる国際的な懸念がある。

報道によると、米政府内ではイランの高濃縮ウランを直接押収する作戦が選択肢として検討されている。イランは60%まで濃縮されたウランを400〜450キログラム保有しているとされ、この量はさらに濃縮すれば10~11発の核弾頭を製造できる可能性があると指摘されている。

しかし専門家は、こうした核物質を実際に確保するには、単純な空爆では不十分だと指摘する。濃縮ウランは地下深くの施設やトンネル内に保管されているとみられ、空爆で完全に破壊するのは難しいため、特殊部隊が現地に入り、施設を制圧して回収する必要がある可能性が高いという。

イランの主要な核関連施設はイスファハンやナタンツなど国内奥地にあり、地下トンネルの中に貯蔵施設が設けられているとされる。ウランは金属容器に入れられた状態で保管されているとみられ、専門的な装備や技術者がいなければ安全に回収することはできない。

そのため、作戦には特殊部隊だけでなく、核物質を扱う専門家や輸送部隊、周辺を防衛する部隊など多くの要員が必要になると分析されている。さらに、施設周辺にはイラン軍や革命防衛隊(IRGC)の防衛網が存在する可能性が高く、作戦は大規模かつ危険なものになるとみられている。専門家の一人は、「こうしたウランは厳重に守られており、簡単に持ち出せるものではない」と指摘している。

この構想はトランプ(Donald Trump)がイランの核兵器保有を阻止することを重要な目標に掲げていることと関連している。米政府高官は議会に対し、イランの高濃縮ウランについて「誰かが回収しに行かなければならない」と説明したとされる。

一方で、地上作戦を実施すれば中東地域での軍事衝突が拡大する可能性も指摘されている。イラン国内での作戦は主権侵害とみなされる可能性が高く、IRGCや関連勢力との大規模な地上戦に発展する危険性があるためだ。

また、イランの核施設は山岳地帯の地下に建設されているものも多く、防御が強固であることから、作戦の成功は容易ではないとの見方も多い。軍事専門家の間では、仮にウランを押収できたとしても、その後の安全確保や輸送、地域の安定化など多くの課題が残ると指摘されている。

こうした事情から、イランの核物質を巡る問題は軍事作戦だけで解決できるものではなく、外交や国際的な管理体制を含めた対応が必要だとする声も上がっている。米政府がどのような対応を取るのか、国際社会の関心が高まっている。

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