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カニエ・ウェスト、マリブ邸宅改修訴訟で14万ドルの支払い命じられる


今回の判決は著名人の住宅改修をめぐる労働問題として大きな注目を集めており、建設現場の安全管理や雇用条件のあり方について議論を呼んでいる。
米国の人気ラッパー、カニエ・ウェストさん(ロイター通信)

米国の人気ラッパー、カニエ・ウェスト(本名イェ)さんがカリフォルニア州マリブの自宅改修工事をめぐる訴訟で、元作業員に約14万ドルを支払うよう命じられた。現地メディアが11日に報じた。ロサンゼルス地裁は元従業員の主張の一部を認め、医療費や逸失賃金の補償として支払いを命じた。

訴訟を起こしたのは改修工事に関わっていたトニー・サクソン(Tony Saxon)氏である。サクソン氏は2021年、イェさんが約5700万ドルで購入したマリブの邸宅で、プロジェクト管理や警備、住み込みの管理人として働くよう依頼されたと主張している。報酬は週2万ドルとされるが、実際に受け取ったのは1回分のみだったと訴えていた。

サクソン氏はさらに、工事現場の安全対策が不十分で危険な作業を強いられ、背中や首を負傷したと主張した。加えて、邸宅内に十分な設備がない状態で生活を余儀なくされ、床にコートを敷いて寝るなど劣悪な環境だったと証言している。こうした状況を理由に仕事を拒否した後、不当に解雇されたとも訴えた。

サクソン氏は当初、未払い賃金や医療費などとして約170万ドルの損害賠償を求めていた。しかし陪審員はその一部を認めず、医療費や失われた収入の補償として14万ドルの支払いのみを認定した。懲罰的損害賠償は命じられなかったが、イェ側は弁護士費用なども負担する可能性があり、裁判費用は100万ドルを超える可能性があるとされる。

これに対しイェ側の弁護団は、サクソン氏はすでに約24万ドルを受け取っていると主張し、負傷の主張についても誇張または虚偽であると反論した。また、陪審の判断は主に負傷に関する部分に限定されたものだとしている。

今回の裁判は約2週間にわたって行われ、イェさん本人も証言台に立った。両者の主張は大きく食い違い、労働条件や報酬の支払いをめぐる責任が争点となった。サクソン氏の弁護士は判決について「小さな額ではあるが正義が認められた」と述べ、有名人と個人労働者の争いだったと強調した。

一方で、両者の法廷闘争は完全には終わっていない。イェ側はサクソン氏が邸宅に約180万ドルの整備工事費の担保権(メカニック・リーエン)を設定したことが不当だとして、別の訴訟を起こしている。今後も関連する法的争いが続く見通しである。

問題となったマリブの邸宅は日本の建築家である安藤 忠雄(Tadao Ando)さんが設計したことで知られ、イェさんは購入後に内装をすべて撤去し、建物をコンクリートの骨格だけの状態にまで解体する大規模改修を進めていた。しかし計画は途中で頓挫し、物件はその後大幅に値下げされて売却されるなど、波乱の経緯をたどっている。

今回の判決は著名人の住宅改修をめぐる労働問題として大きな注目を集めており、建設現場の安全管理や雇用条件のあり方について議論を呼んでいる。

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