米裁判所、トランプ政権の「ハイチTPS打ち切り」を差し止める仮処分命令
TPSは母国で自然災害、戦争、政治的混乱など危険な状況が続く国の出身者に対し、強制送還からの保護と就労許可を与える制度である。
.jpg)
米国の連邦裁判所は2日、ハイチ出身の移民35万人以上が米国で得ている一時保護資格(TPS)の終了をめぐり、トランプ政権による取り消し措置を差し止める仮処分を命じた。ワシントンDCの地区裁判所は国土安全保障省(DHS)が行ったTPS終了の決定について、「白人以外の移民への敵意に基づく可能性がある」とし、手続きや法的根拠の面で重大な欠陥があると裁定した。地裁は裁判の審理が終わるまで、TPSの効力を維持することを認める仮処分を発令し、取り消し措置は効力を持たないとした。
TPSは母国で自然災害、戦争、政治的混乱など危険な状況が続く国の出身者に対し、強制送還からの保護と就労許可を与える制度である。ハイチは2010年の大地震を受けてTPS指定を受け、それ以降何度も延長されてきたが、今回の指定は2026年2月3日に終了する予定だった。これにより米国に長年居住し税金を納める多くのハイチ人が不法滞在者となり、強制送還の対象となる可能性が高まっていた。
地裁は83ページに及ぶ意見書で、ノーム(Kristi Noem)国土安全保障長官が決断を下す際に事実や法律を無視し、他の関係機関の意見を十分に求めなかったと指摘した。また、ノーム氏がハイチを含む移民に対して「殺人者」「寄生虫」「権利ばかり主張する者」といった侮辱的な表現を用いたことを挙げ、これが決定に影響を与えた可能性についても言及した。地裁はTPSの終了は「法的手続きとして恣意的かつ任意的」であり、政府がハイチの危機的状況を適切に評価していないと判断した。
原告となったのは、ハイチ出身のTPS保持者5名で、アルツハイマー病の研究者、ソフトウェア技術者、検査技師、大学生など多職種にわたる。判事は意見書の中で、これら原告がノーム氏の批判の対象とされたような人物像とはほど遠いとし、TPSを維持する正当性を強調した。
DHSの報道官は判決に強く反発し、「最高裁判所に持ち込む」との方針を示した。DHSは、TPSは本来一時的措置であり、恒久的な滞在許可ではないと主張し、ハイチ社会の安定化など条件が整えば終了すべきだとの立場を堅持している。また、他国出身者に対するTPS終了措置も進めており、ベネズエラやウクライナ、アフガニスタン、アメリカ諸国など出身者の保護が打ち切られているケースもある。
一方で支援団体やハイチ人コミュニティは裁判所の判断を安堵の声で受け止めている。特にオハイオ州スプリングフィールドなどではTPS終了が迫る中、学校への登校を控える家族や差別的な言動にさらされる住民の不安が増していた。多くの擁護者はハイチが依然として深刻なギャング暴力や政治危機に直面している現状を踏まえ、強制送還が命の危険をもたらすとして、TPS維持の必要性を訴えてきた。
今回の仮処分は最終判断ではなく、今後の裁判手続きや控訴審で争われる見込みであり、TPSの終了をめぐる法的・政治的対立は継続する見通しだ。---
