SHARE:

米国26年2月求人数690万人、労働市場の弱さ際立つ


労働省が3月31日に公表したJOLTS統計によると、2月の求人件数は前月比でおよそ35万8000件の減少となり、アナリスト予想の約691万8000件を下回った。
求人広告のイメージ(Getty Images/AFP通信)

米国の求人環境が悪化している。2026年2月の求人件数(Job Openings and Labor Turnover Survey:JOLTS)は690万件と、前月の720万件から減少した。求人件数の減少と採用の鈍化は労働市場が活発さを欠いていることを示す重要な指標となっている。

労働省が3月31日に公表したJOLTS統計によると、2月の求人件数は前月比でおよそ35万8000件の減少となり、アナリスト予想の約691万8000件を下回った。求人率(労働力に対する求人の割合)も1月の4.4%から4.2%に低下した。これらの数字は労働需要の弱さを反映している。

採用も大幅に落ち込み、2月は484万9000人と前月から約49万8000人減少した。採用率は3.1%、これは2020年4月以来の低水準であり、パンデミック直後の混乱期に匹敵する。雇用市場が冷え込んでいることが数値面でも明確になった。

求人件数に比べて労働力人口は多く、失業者1人あたりの求人は1件未満の状況が続いている。これは労働需要が供給に追いついていないことを示す。求人と離職のバランスでも、離職件数が約297万人と、より良い条件を求めて転職する意欲を示す数値としては2020年8月以来の低水準にとどまっている。離職者数の減少は、労働者が転職に慎重になっている可能性を示す。

JOLTS報告書は失業率とは異なり、雇用創出や労働市場の需給バランスを映し出すため、景気動向を見る上で注目される指標だ。2月の実績は、求人側と労働力側の双方で動きが鈍く、市場全体が慎重な姿勢にあることを物語っている。

この背景には複数の要因があるとみられる。一つは高水準の金利が企業の採用意欲を抑制していることだ。高い借入コストは設備投資や人員補強の判断を慎重にさせる。また、貿易・移民政策の不透明さや人工知能(AI)の導入による労働需要の変化が企業行動に影響を与えているとの指摘もある。多くの企業が今後の経済環境を見極めるまで、積極的な人員計画を控えている可能性がある。

さらに、2月の雇用統計では実質的な純雇用者数が減少し、9万2000人の雇用喪失が報告された。これは景気拡大期に通常見られる雇用増加とは対照的であり、労働市場が成長から停滞へと移行していることを示唆している。こうした数値は米国経済の現状を象徴する。

一方で、失業率は4.4%と比較的安定しているため、大規模な失業増加には至っていない。これは「低採用・低解雇」と表現される現象で、企業が採用を抑制しつつも既存の従業員を解雇する動きも限定的であることを示す。労働市場は活発さを欠くものの、破綻的な悪化には至っていないとの評価もある。

経済専門家の間では、労働市場の現状について慎重な見方が広がっている。求人と採用の双方が低調であることは、消費者・企業の信頼感の低下を反映しており、今後の経済政策や景気動向を占う上で重要なデータとなる。特に3月の雇用統計が公表される時点で、労働市場が持ち直すのか、さらに弱含むのかが焦点となる。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします