背中に撃ち込まれた7発の銃弾

9月21日、ウィスコンシン州検事総長のジョシュ・カウル氏とケノーシャ郡地方検事のマイケル・グレイブリー氏は、「ジェイコブ・ブレイク氏」への銃撃に関連する調査が最終段階に入り、調査報告書は経験豊富な第三者によって精査されると発表した。

発表によると、調査結果は引退したマディソン警察のノーブル・レイ首席補佐官が8月23日に精査し、銃撃した警察官が起訴される前に新たな情報として提供されるという。

ジョシュ・カウル氏:
「ノーブル・レイ首席補佐官は、ウィスコンシン州に長年居住し、アメリカ司法省の警察改革専門家として国家レベルで活動した経験と、法執行における幅広い知見を有すマディソン警察の元署長である。クリーブランド、タミルライスで2014年に発生した警察官による銃撃事件の調査も行っている」

「レイ首席補佐官は、ブレイク氏の銃撃を報道やその他の映像で見ていた。しかし、調査結果の精査はそれらの映像から得られた情報は一切考慮せず、手元にある資料のみで公平にチェックしている

ウィスコンシン州司法省、刑事捜査部門の報告書には、ブレイク氏への銃撃で告発されたラステン・シェスキーに対する勧告は含まれていない。

カウル検事総長は声明の中で、「レイ首席補佐官の分析は、”起訴を決定する”際の有利な報告書として検事を助けるだろう」と述べた。

8月23日、ブレイク氏は家庭内暴力の通報を受け駆け付けた警察官のひとり、ラステン・シェスキーに背後から銃弾を7発撃ち込まれ負傷した。

ウィスコンシン州司法省犯罪捜査局によると、911にコールした女性は、”男性”が突然自宅に現れたため、恐怖を感じ通報したと主張している。

なお、捜査当局はブレイク氏が女性の言う男性だったか否かは明らかにしていない

告発されたラステン・シェスキーは、ブレイク氏を逮捕すべくテーザー銃を使用したが、そのまま車の運転席側に移動したため、「武器を持っているかもしれない」と考え銃撃したと述べている。

これに対しブレイク氏とその家族を代表するベン・クランプ弁護士は、「29歳の善良な市民に背後から7発もの銃弾を浴びせる意味が分からない。ブレイク氏は後部座席にいた子供たちの様子を確認しただけだ」と反論した。

またブレイク氏の家族によると、ブレイク氏は腰から下が完全に麻痺し、車椅子で生活することになるかもしれないという。

なお、事件発生直後、銃撃に関与した警察官は、当局が捜査を行う間、行政休暇を取得。9月21日時点で起訴はされておらず、現職警察官としてウィスコンシン州ケノーシャ当局に籍を置いている。

2020年8月29日/ウィスコンシン州、ケノーシャ郡庁舎に向かう抗議者たち

ブレイク氏負傷のニュースは、警察の暴力と黒人コミュニティに対する差別に反対する世界規模の抗議活動を引き起こした。

なお、8月25日のウィスコンシン州のデモでは、ライフルで武装した17歳の白人容疑者がジョセフ・ローゼンバウム氏とアンソニー・フーバー氏を射殺。デモの怒りに油を注いだ。

カイル・リッテンハウス容疑者は、2人の殺人容疑で起訴され、間もなく殺人裁判にかけられる予定である。

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2020年8月23日/ジェイコブ・ブレイク氏が背後から銃撃を受ける

ブリオナ・テイラー

2020年3月、当時26歳のブリオナ・テイラー氏は、彼氏のケネス・ウォーカー氏とケンタッキー州ルイビル市のアパートで休んでいたところを3人の私服警察官に襲撃され、その後射殺された

私服警察官たちは、テイラー氏の元ボーイフレンドに関連する麻薬捜査を行っていた。

ウォーカー氏は警察官が警告なしにドアを破壊、テイラー氏に銃弾を撃ち込んだと主張している。

警察当局は、ウォーカー氏が警察官に向かって発砲したため、これを制圧。その後、抵抗するテイラー氏を計8回殴りつけ、射殺したと発表した。なお、その後の調査でアパートから麻薬やそれに関連する情報は一切発見されなかった

テイラー氏は現職の警察官に計8回叩き伏せられ、ボロボロになった後、射殺されたのである。

事件後、私服警察官2名は行政命令を受け、テイラー氏を射殺したブレット・ハンキソンは解雇された。現在、ケンタッキー州検事総長、ダニエル・キャメロン氏が事件の調査を進めている。

しかし、キャメロン検事総長は約半年前に発生した事件の詳細を公表せず、明かす時期についても明らかにしていない。

ルイビルメトロ警察のロバート・J・シュローダー署長は、州当局から内部調査に関連する最新情報が発表されることを見越して、署員に緊急事態を宣言。違法な抗議活動への取り締まりを強化した。

シュローダー署長は記者団に対し、キャメロン検事総長が保留している内部調査の発表を見越し、署の体制を強化したと認めた。

ロバート・J・シュローダー署長:
「公共の安全と警察機能の適切な運用のために必要な人員を確保した。我々は、これから起こり得る事態に対処する」

「ルイビルメトロ警察は、緊急時の人員配置と報告に関するガイドラインに従い、適切に運用される」

当局のスポークスマンによると、行政命令を受けた2人に課された行政休暇は全てキャンセルされたという。

9月15日、ルイビル市はテイラー氏の家族に対し、当局の非を認めたうえで、1,200万ドルの和解金を支払った。なお、ルイビル市が提示した和解条件の中には、”州の警察機構の改革を開始する”という約束が含まれている。

現在、テイラー氏の家族は、警察管が犯した違法な処刑行為に対する訴訟を起こしており、キャメロン検事総長の発表に注目が集まっている。

ブレンナ・テイラー氏射殺事件、ルイビル市が和解金1,200万ドルを支払う

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