▽この関税はメキシコ、カナダ、そして米国の多くの企業、特に自動車産業に深刻な影響を与える可能性がある。
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国際通貨基金(IMF)は6日、米国がメキシコとカナダに課した関税が維持されれば、これらの国々に大きな悪影響を及ぼすと警告した。
IMFのコザック(Julie Kozack)報道官は声明で、米国がメキシコとカナダに課した関税と中国に課した新たな関税、さらに中国とカナダ、そして潜在的にはメキシコが発表した対抗措置は世界経済を揺るがすと強調した。
またコザック氏は「IMFは4月にワシントンDCで開催されるIMF・世界銀行の春季総会の際に最新の経済見通しを公表し、米国の貿易政策の転換が世界経済とその影響を受ける国々に与える影響について、より包括的な評価を示す予定だ」と述べた。
さらに、最近の米国の貿易行動について、カナダとメキシコへの潜在的な影響を挙げ、「世界市場の不確実性が短期的なものなのか、持続的なものなのかを評価することが重要だ」とした。
コザック氏は「(関税は)歴史的に見て、家計と企業の双方が消費や投資を控えることにつながる」と強調した。
トランプ(Donald Trump)米大統領は6日、2日前に発動したメキシコとカナダに対する25%の関税について、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)対象の製品に関しては4月2日まで関税を免除する」と発表した。
トランプ氏はこれに先立ち、USMCAに該当する商品について、「メキシコは関税を支払う必要がない」と表明していた。
当初は対メキシコ関税のみ免除としていたが、その後に署名した大統領令の修正ではカナダも免除対象とした。
ホワイトハウスは前日、米自動車ビッグ3(フォード、ゼネラルモーターズ、ステランティス)からトランプ氏に関税の発動延期を求める要請があったと明らかにした。
これを受け、トランプ氏は自動車関税のみ、1カ月延期するよう命じていた。
この関税はメキシコ、カナダ、そして米国の多くの企業、特に自動車産業に深刻な影響を与える可能性がある。
北米の自動車産業はUSMCAによる国境を越えた商品の移動から恩恵を受けてきた。一部の自動車部品は最終組み立てまでに6回以上国境を越えることがある。
カナダに関しては、米農家に欠かせない肥料であるカリが関税対象から除外される。一方、エネルギー製品については、大統領令修正が全面的には適用されない。これには10%の関税が課されている。
トランプ氏は鉄鋼とアルミニウムに対する25%の関税について、「予定通り3月12日に発動する」とした。すべての国が対象となる。
ラトニック(Howard Lutnick)米商務長官は6日、「4月2日には相互関税を導入する」と強調。メキシコとカナダに対し、「それまでに十分なフェンタニル対策を取れば、両国との協議の争点は相互関税のみとなる」と述べた。
トランプ氏はメキシコとカナダのフェンタニルと不法移入対策に不満を示し、両国が必要な措置を取るまで関税を続けると警告している。
トランプ氏はフェンタニルと不法移民の流入を阻止するために国境警備を強化。中南米の8つの麻薬カルテルを外国テロ組織に指定したり、不法移民を本国や第三国に送還している。
フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性があり、その効果はモルヒネの100倍、ヘロインの50倍といわれている。
米国では過去10年間で45万人以上が合成オピオイドの過剰摂取で死亡、数百万人が中毒になっている。その最大の要因がフェンタニルである。
メキシコ政府は米国境に1万人規模の軍隊を展開。カナダ政府もフェンタニル対策を強化した。
米国に流入するフェンタニルの99.99%がメキシコ産である。メキシコの麻薬カルテルは中国やインドから合成オピオイドの前駆体化学物質を輸入。国内で加工し、米国などに密輸してきた。