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米国の住宅市場に改善の兆し、一部アナリストが指摘


全国不動産業者協会(NAR)によると、30年固定金利の平均は2月17日時点で6.09%、1年ほど前の7%超から低下している。
米イリノイ州シカゴ、売り家の看板(AP通信)

米国の住宅市場に回復の兆しが見え始めているとの分析が、複数の専門家から示された。パンデミック後、住宅価格は急騰し、住宅ローン金利も長期間高水準にあったため、多くの購入希望者が市場から締め出されていた。しかし、最近では住宅ローンの金利が低下しつつあることに加え、賃金の伸びが住宅価格の上昇を上回るなど、購入者にとっての条件が改善しているという。

全国不動産業者協会(NAR)によると、30年固定金利の平均は2月17日時点で6.09%、1年ほど前の7%超から低下している。金利が1ポイント下がるごとに、住宅購入者の年間支払負担は数千ドルから数万ドル単位で軽減される可能性があると指摘される。NARのチーフエコノミストは「金利が落ち着きつつあるのは良いニュースだ」と述べ、住宅取得の負担が徐々に和らいでいるとの見方を示した。

また、NARが示す住宅の「購入しやすさ指数」は7カ月連続で改善し、2022年以来の高水準に達している。住宅価格の上昇ペースが鈍化する一方で所得の伸びが加速しており、購入者の購買力が底上げされつつあるという。ミシシッピ大学の不動産経済学者も「所得は住宅価格よりも速く伸びている」と述べ、住宅取得環境の改善を裏付けた。

こうした前向きな動きにもかかわらず、住宅市場には依然として大きな課題が残るとする見解もある。住宅供給の不足は根強く、現所有者が低金利時代のローン条件を維持したいために売却を控える「ロックイン効果」が市場の流動性を低下させている。

実際、NARの報告では既存住宅の販売件数が26年1月に前月比8.4%減少し、供給不足の影響が数字にも表れている。また、新築住宅の建設も長年の供給不足を解消するほど進んでおらず、需要と供給のギャップは依然として大きい。こうした状況が続く中、ローン金利が高止まりすることで購入者の需要が抑制され、価格の上昇ペースがさらに緩やかになる可能性も指摘されている。

一方で、市場では購入者に有利な動きも見られる。住宅情報サービスのレッドフィンによると、2025年には住宅購入者が売り出し価格から平均7.9%の値引きを得る例が見られ、これは13年ぶりの大きな割引幅だという。このデータからは、売り手市場から買い手市場への転換が進行している可能性がうかがえるという見方もある。

ただし、専門家の間では依然として先行きへの不透明感が強い。予期せぬ金利上昇や経済の鈍化が発生すれば、購入コストが再び上昇し、購買力を低下させるリスクも存在する。専門家は、金利の見通しが不確実であることから「住宅価格の全体的な見通しも不透明だ」と強調している。

住宅市場は現在、価格高騰や供給不足という構造的な問題を抱えつつも、金利低下や購買力改善といったポジティブな兆候が混在する「転換点」にあるとみられている。消費者にとってのアクセス改善がどこまで進むかは、今後の金利動向や供給政策などが大きく影響しそうだ。

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