米ハリウッド、バイトダンスの生成AI動画ツールを著作権侵害で非難
Seedance 2.0は簡単なテキスト入力だけで高品質なAI生成映像を作成できるツールで、現時点では中国国内で限定提供されている。
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米国の映画業界と俳優団体が中国企業の生成AIビデオツールを強く非難している。北京に拠点を置くIT大手「字節跳動(バイトダンス、TikTokの運営会社)」が開発した新たなAI動画生成モデル「Seedance 2.0」について、映画製作者団体や俳優組合は著作権侵害や実在の俳優の肖像権を無断で利用していると主張している。
Seedance 2.0は簡単なテキスト入力だけで高品質なAI生成映像を作成できるツールで、現時点では中国国内で限定提供されている。しかし、公開された映像の中には、著名俳優の容貌や声を模したクリップ、人気映画の場面を連想させるシーンが含まれており、業界関係者の反発を招いた。例えば、ハリウッド俳優トム・クルーズさんとブラッド・ピットさんが荒廃した世界で戦うようなAI動画がSNS上で拡散し、脚本家らから懸念の声が上がっている。
全米映画協会(MPA)は声明で、Seedance 2.0が「米国の著作権作品を大規模かつ無断で使用している」と述べ、「侵害防止のための実質的な安全策なしにサービスを開始したことで、著作者の権利と数百万人の雇用を守る確立された著作権法を無視している」と非難した。またMPAは「バイトダンスは直ちに侵害行為を停止すべきだ」と訴えた。
俳優組合のSAG-AFTRAも同ツールによる侵害行為を非難し、映画スタジオと連帯してSeedance 2.0を「露骨な侵害」と断じた。声明では、無断で会員の声や容姿が使用されていることを「容認できない」とし、こうした行為が俳優らの生計を損なうと強調した。また、AI開発における倫理や同意の原則が無視されていると指摘した。
この問題はAI技術の急速な発展と創作物の権利保護を巡る緊張が高まる中で表面化した。映画業界ではAIが実在の俳優や著作物を模倣した映像を生み出す可能性が、従来の制作方法や著作権制度に重大な影響を及ぼすとの懸念が広がっている。脚本家のレット・リース(Rhett Reese)さんはソーシャルメディア上で「(この技術が広まれば、業界は)終わるかもしれない」」と述べ、業界全体の危機感を示した。
一方、バイトダンス側は声明で知的財産権を尊重する立場を表明し、Seedance 2.0における不正使用を防ぐための安全策強化に取り組んでいると述べた。ただし具体的な対策の内容や実行時期については明言していない。
この対立は米国の著作権法や俳優らの権利といった既存の枠組みがAI時代の新たな技術にどのように対応すべきかという議論にも影響を与えている。将来的には法的措置や規制の強化を求める動きが強まる可能性があるほか、AIによる映像生成技術の利用範囲やルール整備が国際的な焦点となることが予想される。
