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米国の心疾患による年間死亡者数減少、課題も

心疾患の中でも最も一般的な冠動脈性心疾患による死亡は、2022年の37万1506人から2023年の34万9470人へと減少した。
心臓のイメージ(Getty Images)

米国における心疾患による死亡者数は2022年から23年にかけて減少したものの、依然として国内で最も多い死因であることが最新の報告で明らかになった。米国心臓協会(AHA)が1月21日付で医学誌『サーキュレーション(Circulation)』に発表した「2026年心疾患・脳卒中統計アップデート」によると、心疾患を含む循環器疾患による死亡者数は2023年に91万5973人で、前年度の94万1652人から約2.7%減少した。しかし、心疾患・脳卒中を合わせると国内での死因の4分の1以上を占めており、がんや事故死を上回っているという。

心疾患の中でも最も一般的な冠動脈性心疾患による死亡は、2022年の37万1506人から2023年の34万9470人へと減少した。冠動脈性心疾患は心臓を取り巻く血管の閉塞が原因で心筋梗塞を引き起こすことが多く、報告では米国内では平均して「3分に2人がこの病気で死亡している」と指摘されている。

一方で、成人では依然として高血圧や肥満、糖尿病などの心疾患リスク要因が蔓延している。報告によると、18歳以上の成人の約47.3%が高血圧を抱えており、肥満率は約50%と依然高い水準にある。また、2歳から19歳の若年層では肥満が増加し、この年代の肥満率は25.4%から28.1%に上昇していることが示された。こうした慢性疾患や健康リスクは心疾患や脳卒中の発症につながる要因として警戒されている。

AHAの報告に関わった専門家は、心疾患の予防が死亡率低下の鍵であると強調している。ノースウェスタン大学のサディヤ・カーン博士は、心疾患には完治させる治療法が存在しないため、症状が現れる前の予防対策が重要であり、生活習慣の改善によって大きな効果が期待できると述べた。具体的な改善策として、健康的な食生活、定期的な身体活動、十分な睡眠、禁煙などの生活行動と、体重、コレステロール、血糖値、血圧の管理が推奨されている。これらの要因は米国外の研究でも重要性が示されており、適切な管理により心疾患発症リスクや死亡率を大幅に低減できる可能性があるという分析結果もある。

また、心疾患の減少傾向には全体的な死亡率の改善やパンデミック後の健康トレンドが影響している可能性があるという指摘もある。しかし、循環器疾患リスクを抱える成人は依然として多く、生活習慣の改善や早期の健康管理・検診を促進する必要性は高い。専門家らは予防と早期対策を強く呼びかけており、米国の公衆衛生における心血管疾患対策のさらなる充実が求められている。

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