◎母子は7月27日、首都ポルトープランス郊外で何者かに連れ去られた。
中米ハイチで誘拐された米国人女性とその娘が解放された。現地メディアが9日に報じた。
ABCニュースによると、首都ポルトープランスに拠点を置く非営利団体が声明を出し、母子が無事保護されたことを確認したという。
母子は7月27日、ポルトープランス郊外で何者かに連れ去られた。ハイチ国家警察によると、母子を取り戻す交渉は誘拐が明らかになった直後に始まったという。
この女性はニューハンプシャー出身。現在はポルトープランスにある宗教団体が運営する学校で看護師として働いている。夫はハイチ人でその学校の理事長を務めている。
母子が解放された経緯は明らかになっておらず、米政府も今のところ声明を出していない。
米国務省は7月27日、大使などの高官を除くハイチに駐在する政府職員に退避を命じ、渡航中止勧告を出した。
同省は勧告の中で次のように述べている。「ハイチでは誘拐が蔓延しており、その被害者には米国市民も含まれています。誘拐犯は巧妙な計画を立てることもあれば、計画外の機会を利用することもあります。誘拐事件には身代金交渉が絡むことが多く、米国籍の被害者が誘拐中に身体的危害を受けたこともあります。被害者の家族は、家族を救出するために身代金を支払ったこともあります...」
また同省は「米国人がハイチで身代金目的の誘拐に巻き込まれることは決して珍しくない」と警告した。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは半年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。地元の人権団体はこの争いで民間人数千人が死亡または行方不明となり、数十万人が国外に逃亡したと推定している。
ギャングなどの誘拐犯はポルトープランスの空港からターゲットを尾行し、暴力を振るったり、現金を奪ったりする。車上荒らしは日常茶飯事で、流れのタクシーは避ける必要がある。
米国務省は勧告の中で、「ハイチから出国を希望する米国市民は現地のニュースを注視し、安全と思われる場合にのみ出国すること」としている。