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米ミシガン銃乱射事件、容疑者は退役軍人、当局が発表

この銃撃と放火により少なくとも4人が死亡、8人が負傷した。犯人は駆けつけた警察官との銃撃戦の末、射殺された。
2025年9月28日/米ミシガン州グランドブラン、銃乱射放火事件が発生した末日聖徒イエス・キリスト教(通称モルモン教)の教会(AP通信)

ミシガン州グランドブランにある末日聖徒イエス・キリスト教(通称モルモン教)の教会で発生した銃乱射事件について、捜査当局は29日、容疑者がイラク戦争に従軍した退役軍人であったと明らかにした。

事件は28日の早朝に発生。数百人が礼拝していた教会にトーマス・ジェイコブ・サンフォード(Thomas Jacob Sanford、40歳)容疑者が運転するトラックが突っ込んだ。容疑者は参列者を銃撃した後、ガソリンをまき、火を放った。

グランドブラン警察によると、この銃撃と放火により少なくとも4人が死亡、8人が負傷した。犯人は駆けつけた警察官との銃撃戦の末、射殺された。

動機は明らかになっていない。現地メディアによると、警察は容疑者の自宅を家宅捜索し、携帯電話や銃器などを押収したという。

捜査当局は29日の記者会見で、容疑者に窃盗罪と飲酒運転の前科があると説明したが、詳細は明らかにしなかった。

また当局は容疑者がイラク戦争に従事し、2008年に退役したと明らかにした。

ABCニュースによると、容疑者は2004年6月から2008年6月まで4年間海兵隊に勤務。最終的に軍曹に昇進したという。

イラクへの派遣は2007年。退役する3カ月前に帰国したとのこと。

米国では退役軍人が関与した重大事件がいくつか報告されている。その中でも特に注目を集めたのが、2013年9月16日に発生した「ワシントン海軍工廠銃乱射事件」である。この事件の犯人はアーロン・アレクシスという元海軍予備員(退役軍人)で、彼はこの日、ワシントンDCにある海軍施設に侵入し、12人を射殺、最終的に警察によって射殺された。

アレクシスは2007年から2011年まで海軍に所属していたが、その間に複数の規律違反があったとされ、名誉除隊ではなく一般的な退役となっている。除隊後も政府関連のIT企業に勤務し、政府施設へのアクセス権を保持していた。事件当日、合法的に入場できたことが被害を拡大させた要因の一つである。

彼は以前から精神的な問題を抱えており、幻聴や妄想に苦しんでいたとされる。FBIの調査では、彼が「マイクロ波で脳を攻撃されている」と信じていた形跡があったことが明らかになっている。このような兆候にもかかわらず、適切な精神医療や公的な監視が行き届いていなかった。

この事件は、退役軍人の精神衛生や、軍・政府関連施設のセキュリティ、銃規制など、米国社会が抱える複合的な問題を浮き彫りにした。また、軍経験者が帰還後に抱えるトラウマやPTSDへの対応の不備も指摘され、事件後には退役軍人向けの医療体制の見直しが求められることとなった。

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