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米国のインフレ加速、どうしてこうなった...トランプ氏は値下がり強調も

政府統計によると、2025年12月の食料品価格は前年同月比で急上昇、主要な家庭向け必需品の価格が大幅に値上がりしたことが示された。
2025年12月30日/米カリフォルニア州ロサンゼルスのスーパーマーケット(Getty Images/AFP通信)

米国で食料品の物価上昇が再び加速しており、トランプ(Donald Trump)大統領が主張する「食料品価格が急速に下がっている」という説明とは大きく食い違っていることが最新のデータで明らかになった。政府統計によると、2025年12月の食料品価格は前年同月比で急上昇、主要な家庭向け必需品の価格が大幅に値上がりしたことが示された。

労働統計局(BLS)の報告では、コーヒーの価格は前年同月比で20%近く上昇したほか、牛ひき肉の価格は15%以上の伸びを見せた。これらの値上がりはBLSがまとめる消費者物価指数(CPI)の「食料品(自宅用)」が前年同期比で2.4%上昇した背景となっている。この上昇幅は2022年以来の大きさであり、多くの家庭が日々の買い物で値上げを実感している状況だ。

一方でトランプ氏はデトロイトでの演説で、「食料品価格は急速に下がり始めている」と述べ、インフレ問題は克服されたとの認識を示した。またトランプ氏はバイデン前政権によるインフレを「巨大なスタグフレーション」と表現し、自身の経済政策で解決したと主張した。しかし、この主張に対して政府統計は反論しており、トランプ氏の発言と実際の物価動向には大きな隔たりがある。

こうした価格上昇の背景について、経済アナリストは複数の要因が重なっていると指摘する。一つは供給と需要の不均衡である。例えば牛肉価格の上昇は過去数年にわたる干ばつによる家畜供給の減少が影響しているとされる。干ばつで飼料コストが高騰し、牛の飼育が困難になったことで供給量が縮小し、それに対して消費者需要が引き続き高いことが価格を押し上げている。

また、天候不順による原材料の供給不足や、コーヒーやココア豆などの農産物の需要増加も一部の商品価格を押し上げている点も指摘されている。こうした市場要因は特定の政権の経済政策だけで説明できるものではないとの見方がある。

加えて、トランプ政権が導入した相互関税が食料価格に影響を与えているとの分析もある。特に鋼鉄やアルミニウムに課された高関税は缶詰などの包装材料の価格を一段と押し上げ、そのコストが商品価格に転嫁される形となっている。包装用の鋼板価格はこの1年で約16%上昇したとのデータもある。こうしたコスト増加は消費者のレシートに反映される形となっている。

ただし、すべての食料品が値上がりしているわけではない。卵の価格は前年に比べて20%以上低下し、トマトやジャガイモなど一部の農産物や乳製品も価格が下落している。また、バナナの価格は関税緩和の政策で改善が期待されるものの、効果が出るまでには数カ月の遅れが生じるとの指摘もある。

アナリストの間では、現在の食料品価格の上昇傾向は今後もしばらく続く可能性があるとの見方が強い。供給不足の解消には時間がかかり、食品メーカーや農家が原材料や包装コストの高止まりに対応するにはさらに長い期間を要するためだ。消費者が感じる物価の重圧は容易に和らぎそうにない。

 

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