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米ラスベガスで高級ビュッフェ人気、観光客を魅了

80年前にハムやチーズを並べた1ドルの「バックアロー・ビュッフェ」が初めて登場した当時、ビュッフェはギャンブルに多くの時間を費やしてもらうため、安価で素早く食事を提供する役割を果たしていた。
2026年1月28日/米ネバダ州ラスベガス、カジノ内にあるビュッフェ(AP通信)

ネバダ州ラスベガスの象徴的な格安ビュッフェは過去のものとなり、現在では1人175ドル(約2万7000円)近い高級ビュッフェが観光客を魅了している。80年前にハムやチーズを並べた1ドルの「バックアロー・ビュッフェ」が初めて登場した当時、ビュッフェはギャンブルに多くの時間を費やしてもらうため、安価で素早く食事を提供する役割を果たしていた。しかし今日、ラスベガスに残るビュッフェは10数軒程度に激減し、豪華食材や演出を売りにする高価格帯に変貌している。

かつてラスベガス最大級とされた「カーニバル・ワールド・ビュッフェ(リオ・ホテル)」は新型コロナウイルス感染症の影響で2020年に閉店し、300種類以上の料理を30ドル前後で提供していた。ARIAホテルのインターナショナル料理ビュッフェも同年閉鎖され、ラーメンや寿司、バーガーを扱うフードホールとなった。古代エジプト風のビュッフェも今年3月に姿を消し、かつては32ドル程度の料金で提供されていたが多くの客がカジノの入場券で無料利用していたという。

こうした伝統的な格安ビュッフェの衰退はラスベガスが「美食の街」へと変貌したことを反映したものでもある。著名シェフが手がけるレストランやトレンディなフードホールの増加に伴い、観光客の食に対する期待が変化し、より高品質な料理を求める声が高まっている。ラスベガスのグルメガイドは、ラスベガスが常に変化する街であり、食文化もそれに合わせて進化していると指摘する。

一方で、長年ラスベガスを訪れてきた常連客の多くは、格安ビュッフェの消失を寂しく思っている。99セントのカクテルと並んで、ラスベガスの手頃な食文化の象徴だったこれらの提供がなくなったことで、都市が高額化しているとの批判もある。アリゾナ州からの常連客はAP通信の取材に対し、「ビュッフェに入って食べて、そのままスロットマシンに向かうという文化が変わってしまった」と語った。

現在の高級ビュッフェの代表例として、ウィン・ラスベガスやシーザーズ・パレスの「バッカナル」などが挙げられる。これらの会場ではカニやプライムリブ、ロブスターなどをふんだんに使い、飲み放題が付いたコースを提供、食事自体が観光の目玉となっている。カリフォルニアから訪れた男性はこうした光景を「壮観」と評しながらも、「かつての手頃な価格のビュッフェが恋しい」と述べ、ラスベガスの高騰する観光費用が中産階級観光客を遠ざける可能性を指摘した。

パームズ・カジノリゾートの「A.Y.C.E」「オール・ユー・キャン・エート」ビュッフェでは、無制限のロブスターやシュリンプカクテル、寿司、スノークラブレッグ、ロブスターマカロニチーズなどを提供し、特別テーマの夜にはフラダンサーやマリアッチが出演するなど、食事をエンターテインメント化する工夫がなされている。シェフは「まるでサーカスのようだ」と表現し、訪問客に単なる食事ではない体験を届けている。

このようにラスベガスのビュッフェはかつての「安さと量」の象徴から、「質と体験」を提供する高級ダイニングへと進化しており、今後も食文化の潮流に合わせて変化し続ける見込みである。

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