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巨大カタツムリと昆虫が稲作とザリガニ養殖場を脅かす 米国

ルイジアナ州立大学の科学者は、現在州内の約200平方キロメートルでリンゴガイが確認されたと推定している。
2026年1月21日/米ルイジアナ州カプランの農家(AP通信)

米国南部の農業現場でこれまでになかった侵略的な害虫が稲作とザリガニ養殖に深刻な脅威をもたらしている。ルイジアナ州南部で長年ザリガニ漁に携わる男性はこの冬、ワナにかけたザリガニよりも大量の「巨大なカタツムリ」に悩まされてきた。野球ボールほどの大きさに成長する「リンゴガイ」は悪天候に強く、田んぼや排水路の中で繁殖し、毎月何千個もの泡のような卵を産み付けるという。リンゴガイはザリガニのワナを詰まらせるだけでなく、若い稲苗も食べ尽くすため、農家の頭痛の種になっている。

ルイジアナ州立大学の科学者は、現在州内の約200平方キロメートルでリンゴガイが確認されたと推定している。この地域では水田で稲とザリガニを交互に栽培する農法が一般的だが、リンゴガイの被害を避けるため、多くの農家はまず乾いた土の状態で稲を数インチ育てて強くしてから後で水を張るという、より手間とコストがかかる方法を取らざるを得なくなっている。だがこの方法でも完全な駆除にはならず、農薬の多くはザリガニにも有害で、使える薬剤が限られるため、生産コストの増加と収量減少が避けられないという。

さらに第二の脅威として、稲を吸汁して害を与える「デルファシッド」と呼ばれる微小昆虫が広がっている。この虫は稲にウイルスを媒介し、米の収量を大幅に減少させる可能性があり、昨年隣接するテキサス州では収穫後の二番穂(ラトーン作)で最大50%の損失が出たという報告もある。デルファシッドは標本採取用の大型ネットや特殊な掃除機のような器具で農学者たちが捕獲・調査を進めているが、その広範な影響と拡散の要因についてはまだ解明途上である。

リンゴガイやデルファシッドのような侵略的種は、気候変動が「温暖化の進行によって南部の穏やかな気候がより長く続く」ことと関係して、米国内での拡散が進みやすいとの指摘がある。ミシガン州立大学の昆虫学部門は、気温が高めに推移すれば害虫の繁殖に適した条件が長く続き、これまで見られなかった地域へも広がる可能性があると述べている。

被害は生産現場だけでなく、農家の労働負担や収益にも直結している。農家ではザリガニを選別する際にカタツムリを除去する手間が増え、作業時間が深夜まで延びることもしばしばだ。また、銅硫酸塩などの対策薬剤を試す農家もいるが、これが導入コストを数千ドル押し上げるケースもあるという。こうした影響は米国の米価格にも波及する可能性があり、消費者負担の増加も懸念されている。

農業研究者は「シルバーバレット(万能解)はない」と指摘し、根本的な対策としては害虫の生態や拡散メカニズムを理解し、それに基づいた統合的な防除戦略を構築する必要があるとしている。侵略的種による被害への対応は、米国南部の稲作・ザリガニ産業にとって今後の大きな課題となっている。

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