◎判事は、「判決は権力と立場の乱用、および示された特定の残虐行為に基づいている」と述べた。
6月25日、ミネソタ州ミネアポリスの裁判所はアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイド氏を殺害したデレク・ショーヴィン被告に懲役22年6カ月の実刑判決を言い渡した。
米主要メディアは、「ショーヴィン被告は間違いなく控訴する」と伝えている。
判事は、「判決は権力と立場の乱用および特定の残虐行為に基づいている」と述べた。
ショーヴィン被告は昨年、フロイド氏の首を9分29秒間膝で押さえつけ、殺害した。事件は人種差別と警察の残虐行為に対する世界的な抗議を引き起こした。
ショーヴィン被告は4月20日に第2級殺人、第3級殺人、過失致死罪で有罪評決を受けていた。第2級殺人の最高刑は懲役40年。
事件に関与した3人の元警察官もフロイド氏の公民権を侵害した罪でそれぞれ起訴されている。
フロイド家と支持者たちは判決を歓迎した。
フロイド家の弁護団の代表を務めるベン・クランプ弁護士はツイッターに、「この歴史的な判決はフロイド家とアメリカに対する癒しを前進させる」と投稿した。
フロイド氏の妹のブリジット・フロイド氏は、「判決は警察の残虐行為がようやく真剣に受け止められたことを示している」と述べた。
ジョー・バイデン大統領は声明で、「判決は適切だと思われる」と述べた。
ABCニュースによると、ミネアポリスのジョージ・フロイド広場に集まった支持者たちも判決を歓迎し、フロイド氏の名を大声で唱えたという。ある団体は大声で「30年!30年!」と叫んだ。
フロイド氏の兄弟であるテレンス・フロイド氏は25日の審理の中で、第2級殺人の最高刑を科すよう判事に要求した。「あいつは兄の首を膝で押さえ、殺した。なんなんだ?何を考えていたんだ?あいつの頭の中はどうなっているんだ?」
フロイド氏の7歳の娘はビデオを通じて判事に思いを伝えた。「私はいつも彼(ショーヴィン被告)にどうしてパパを殺したの?と訪ねています。パパはいつも私の歯磨きを手伝ってくれました」
ピーター・カーヒル裁判官は、「この事件は地域社会とアメリカに苦痛を与えたが、とりわけフロイド家に大きな痛みをもたらした」と述べた。「感情や同情は判決の根拠になりません。しかし、私たちは全てのアメリカ人が受けた苦痛、特にフロイド家が受けた途方もない痛みを認めなければなりません...」
ショーヴィン被告はフロイド家に哀悼の意を表したが、謝罪はしなかった。ショーヴィン被告の母、キャロリン・ポーレンティ氏は判事に「息子は善人である」と述べた。「私は息子の無実を信じています。その思いは決して揺らぐことはありません」
フロイド氏は昨年5月、コンビニエンスストアでタバコのパックを購入した際、偽造紙幣を使用した疑いをかけられ、警察に拘束された。
アメリカでは偽札が普通に流通しており、フロイド氏はそれと気づかずに使用したと考えられている。その後の捜査でフロイド氏が偽札の製造に関与した証拠は発見されず、ミネアポリス市はフロイド家に謝罪し、和解金2,700万ドルの支払いに応じた。
ショーヴィン被告はパトカーの近くでフロイド氏を地面に倒し、膝で首を押さえつけた。この時、フロイド氏は手錠をかけられており、ほぼ無抵抗状態で首を絞めつけられた。
フロイド氏は20回以上「息ができない」と言い、「助けて」と呻き、「お願いします、お願いします」とショーヴィン被告に懇願した。事件の目撃者たちはショーヴィン被告に「彼は抵抗していないから、呼吸をさせて」と懇願したが、ショーヴィン被告は要求を却下し、首を押さえ続けた。
事件を記録したダルネラ・フレイジャー氏は当時、「男性は殺されることを恐れ、懇願し、呻き、すすり泣いていた」と述べた。フレイジャー氏は今月、アメリカの新聞、雑誌、オンライン報道、文学、作曲の功績に対して贈られるピューリッツァー賞を受賞した。