◎ビブリオ・バルニフィカスは夏季の海水にいる細菌のひとつで、魚介類の生食を介して感染すると重篤な症状を引き起こすことがある。
2022年10月1日/米フロリダ州フォートマイヤーズの公園(Getty Images/AFP通信)

保健当局によると、ハリケーン「イアン」により壊滅的な被害を受けたフロリダ州の一部地域で「ビブリオ・バルニフィカス感染症(通称人食いバクテリア症)」の感染者が急増している。

イアンはフロリダ州の広い範囲に甚大な被害をもたらし、専門家によると、復興には年単位の時間がかかるという。被害総額は700億ドルに達する可能性があると試算されている。

フロリダ州当局によると、ビブリオ・バルニフィカスの感染者が州内で29人確認され、少なくとも4人が死亡したという。その95%がイアン上陸後に確認された

ビブリオ・バルニフィカスは夏季の海水にいる細菌のひとつで、魚介類の生食を介して感染すると重篤な症状を引き起こすことがある。

また、手足の傷から菌が侵入して感染することもあり、血液に入って全身に広がった場合の致命率は50~70%に達する。

フロリダ州の沿岸地域は高潮被害に見舞われ、広い範囲が冠水した。

同州の保健局は17日の声明で、「ビブリオ・バルニフィカスは冠水地域で繁殖している」と報告した。

また同局は住民に対し、傷口、切り傷、ひっかき傷がある人は特に注意するよう呼びかけている。

AP通信は当局者の話を引用し、「州内に残っている冠水エリアの水は海水だけでなく汚水も混ざっているため、間違っても泳いではいけない」と報じている。

水が引かないエリアではビブリオ・バルニフィカスを含むウイルスやバクテリアが繁殖している可能性が高い。

フロリダ州当局は小さな水たまりを歩く際も注意が必要と呼びかけている。

州保健局のデータによると、今年この細菌に感染し死亡した人は過去最高の11人、感染者は65人確認されている。昨年の感染者は34人、死者は10人。2020年の死者は7人だった。

ビブリオ・バルニフィカスは組織を破壊する壊死性筋膜炎を引き起こすことがあるため、「人食いバクテリア」と呼ばれている。この菌以外の細菌も壊死性筋膜炎を引き起こす可能性がある。

CDC(疾病予防管理センター)によると、米国内でビブリオ・バルニフィカスに感染した患者の5人に1人が死亡し、発症から1~2日で死亡したケースもあったという。

記録的な大雨に見舞われ国土の3分の1が水没したパキスタンではマラリアやデング熱などの感染症が広がりつつある。

2022年10月1日/米フロリダ州フォートマイヤーズ沖の道路(Gerald Herbert/AP通信)
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