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米フロリダ州当局、6000人以上の移民を逮捕、取り締まり強化

国土安全保障省(DHS)はトランプ大統領の住まいがあるフロリダ州に移民関連費用として約3000万ドルを追加計上している。
米移民税関捜査局(ICE)の捜査官(ICE/AP通信)

税関・国境警備局(CBP)は26日、フロリダ州の不法移民摘発について、過去5カ月間で6000人以上を逮捕したと明らかにした。

国土安全保障省(DHS)はトランプ(Donald Trump)大統領の住まいがあるフロリダ州に移民関連費用として約3000万ドルを追加計上している。

移民税関捜査局(ICE)の副局長は27日、フロリダ州タラハシーのイベントで演説。同州の取り組みを称賛し、ICEが全国の州および地方の法執行機関に移民対策として17億ドルを計上していると述べた。

セントジョンズ郡の保安官事務所はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「連邦当局は小切手帳を手に、いつでも支払う準備ができている。私たちは正規ルートで入国し、滞在許可を得ている外国の友人ではなく、不法滞在者を摘発している」と書いた。

州当局によれば、セントジョンズ郡保安官事務所の管轄区域だけで700人以上の移民が逮捕されたという。

第二次トランプ政権において、「不法移民」の逮捕・送還政策は、前政権時の強硬路線をさらに発展させた形で再始動した。トランプ氏は再選直後から、移民政策の強化を最優先課題の一つに掲げ、「史上最大規模の不法移民の逮捕・送還作戦を実行する」と公言し、実際に国内での取り締まりを加速させている。

政権は発足から100日以内にICEを中心とした一斉取り締まりを開始。過去に犯罪歴のある不法滞在者、ビザの期限を過ぎて滞在している外国人、そして国境を越えて不法入国した者などを優先的に対象とした。加えて、地方自治体に対しても協力を求め、「聖域都市」と呼ばれる連邦政府の移民政策に協力しない都市に対しては、連邦資金の供給を制限するなどの圧力を強めている。

またトランプ政権は、南部国境の警備体制を大幅に強化し、バイデン政権時に中断していた国境の壁の建設を再開した。不法入国の抑止を目的とするこの措置は、国境警備隊の増員や監視技術の導入と併せて実施され、越境直後の移民を即時拘束・送還する体制を整えている。

一方で、これらの政策には多くの批判も寄せられている。不法移民の中には、長年にわたり米国で生活し、家庭や地域社会に深く根ざしている者も多い。強制送還が家族の分断や地域経済への悪影響をもたらすとの懸念が広がっており、人権団体や一部州政府は政策の見直しを求めている。また、逮捕された移民を収容する施設の不足や、送還先の政府との調整の困難さなど、実務上の課題も顕在化している。

トランプ政権は不法移民を「国家の安全と秩序を脅かす存在」と位置づけ、徹底的な排除を進めている。しかし、その過程で発生する社会的・人道的な問題への対応が十分でないとの指摘も根強く、今後の政権運営において大きな争点となっている。

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