◎米国の元大統領が家宅捜索を受けたのは初めて。
米共和党は9日、トランプ(Donald Trump)前大統領の豪邸「マー・ア・ラゴ」にFBI(連邦捜査局)が踏み込んだことについて、司法省に経緯を説明するよう求めた。
FBIは8日、フロリダのホワイトハウスと呼ばれるトランプ氏の豪邸を家宅捜索し、同氏が持ち出したとされる機密文書を押収したとみられる。
現地メディアによると、FBIと司法省はこの家宅捜索に関するコメントをまだ発表していない。
米国の元大統領が家宅捜索を受けたのは初めて。
CNNニュースは警察筋の話を引用し、「この家宅捜索はトランプ氏がホワイトハウスから機密文書を持ち出したという疑惑に関連しているとみられる」と報じている。
共和党御用達のFOXニュースは「マー・ア・ラゴからいくつかの箱が持ち出された」と報じた。また報道によると、FBIはドアを蹴破らず、礼儀正しく家宅捜索を行い、8日遅くに撤退した。
共和党員は捜査を政治的動機によるものと非難し、司法省のガーランド(Merrick Garland)司法長官に説明を要求している。
2024年の大統領選出馬を目指していると信じられているペンス(Mike Pence)前副大統領は司法長官に対し、「捜索令状が執行された完全な理由を速やかに説明しなければならない」とツイートした。
またペンス氏は「米国の歴史上、初めて元大統領が家宅捜索を受けた」と書き込んだ。
一方、トランプ氏を支持する共和党員は11月の中間選挙で多数派になった場合、調査を開始すると宣言した。
民主党員は家宅捜索を歓迎したが、一部議員は司法省にもっと情報を提供するよう求めている。また、この家宅捜索でトランプ氏が「殉教者」として扱われるようになり、支持率が上がるのではないかと懸念する声も聞かれた。
ホワイトハウスのジャンピエール(Karine Jean-Pierre)報道官は9日、「バイデン(Joe Biden)大統領は家宅捜索の事前通知を受けておらず、報道で知った」と語った。「大統領は説明を受けておらず、ホワイトハウスで家宅捜索を事前に知っていた人はいませんでした」
またジャンピエール氏は「大統領は司法の独立を維持するために多大な努力を払ってきた」とし、法の支配を信じると強調した。
今回の家宅捜索はニューヨークのトランプタワーにいたトランプ氏の声明で明らかになった。
CBSニュースは警察筋の話を引用し、「FBIは現地時間10時頃、令状が執行される直前にマー・ア・ラゴのシークレットサービスに家宅捜索を行うと通知した」と報じた。
民主党のペロシ(Nancy Pelosi)下院議長は8日、NBCニュースのインタビューの中で、「FBIによる”訪問”を報道で初めて知った」と語った。
またペロシ氏は令状が公開されることを楽しみにしているとした。「令状を取るには正当な理由が必要です。そして今回の家宅捜索は、現職の大統領も元大統領も法の上には立てないということを意味しています」
AP通信によると、トランプ氏は9日、支持者に宛てたメールの中で、「私と他の共和党員は選挙で優位に立っているため標的にされた」と述べ、民主党を非難した。
「民主党は私と共和党を止めようとしています。無法地帯、政治的迫害、白人弾圧を止めなければなりません...」
トランプ氏はニューヨークからニュージャージー州ベッドミンスターのゴルフ場に移動したとみられる。
2024大統領選の共和党最有力候補のひとりと目されるフロリダ州のデサンティス(Ron DeSantis)知事も民主党を非難した。「あり得ません。FBI民主党支部は政敵を排除するために連邦機関を兵器化したのです!」
連邦法は機密文書の無許可持ち出しを禁じているが、トランプ氏は大統領時代に持ち出したとされる文書について、「機密か否かを決める権限は大統領にある」と主張する可能性がある。
機密情報を管理する法律は複数あり、最も厳しいものになると禁固5年に処される可能性がある。また、意図的または重大な過失で機密文書を不正に扱った場合も罪に問われる。
トランプ氏をめぐっては、昨年1月6日の議会議事堂襲撃事件を含む複数の捜査が進められている。