◎米国のワクチン完全接種率は人口の約62%で停滞している。
12月26日、ホワイトハウスの首席医療顧問であるアンソニー・ファウチ博士は、国内でコロナ変異ウイルス「オミクロン株」が急速に拡大していることに懸念を表明し、先週コロナワクチンの効果を擁護したドナルド・トランプ前大統領がワクチン未接種者により良いメッセージを発信し続けてくれることを望んでいると述べた。
ファウチ博士はABCニュースのインタビューの中で、全国の新規陽性は右肩上がりで増加していると警告した。「先週の平均は1日あたり約15万件でした。今週はさらに増加すると思います...」
疾病予防管理センター(CDC)によると、全国の新規陽性の75%以上がオミクロン株に置き換わったと見られるという。ほぼ100%オミクロン株に置き換わった地域も複数報告されている。
ファウチ博士は複数の研究機関が「オミクロン株の重症化リスクは低く見える」と報告したことについて、新規陽性が長期間十万から百万単位で推移すれば医療崩壊を引き起こす可能性があるため、「自己満足したくない」と強調した。
ファウチ博士は迅速検査キット5億回分を無料提供するというジョー・バイデン大統領の政策について、「不満を感じている」と述べた。「私たちはもっとうまくやらなければなりません...」
現地メディアによると、州の主要都市の検査会場はここ数日、異様に混雑しているという。多くの国民が年末年始を家族や友人と過ごすために検査会場に足を運んだ。ホワイトハウスによると、検査キットは郵送で自宅に届き、ウェブサイトによる受付は1月から始まる予定だという。
ファウチ博士は検査能力の拡大を「極めて重要」と強調したうえで、オミクロン株の感染拡大に拍車をかけかねない検査会場の混雑や、検査で陰性を確認できれば家族に会えるという「思い込み」に懸念を表明した。「検査は極めて重要ですが、陰性チェックだけで問題は解決しません...」
製薬大手ファイザーとメルク社のコロナ用飲み薬の緊急使用が認められたことについては、「非常に非常に大きな違いを生む」と述べ、食品医薬品局(FDA)の決定を称賛した。「速やかに薬を生産し、全国に展開することが重要です...」
CDCのデータによると、米国のワクチン完全接種率は人口の約62%で停滞しているという。
オミクロン株の急拡大もワクチン未接種者の心を動かすことはできなかったと思われる。カイザー・ファミリー財団が先週公表した世論調査によると、調査に応じた未接種者のわずか12%がオミクロン株の拡大を懸念し、ワクチンを接種するかどうか迷っていると回答したという。
ファウチ博士はブースターを接種したと公の場でカミングアウトしたトランプ前大統領を称賛し、より良いメッセージを発信し続けてほしいと訴えた。「彼の肯定的なメッセージは未接種者の背中を押すかもしれません。彼が現在の姿勢を維持してくれることを願っています」
トランプ前大統領は先週公開されたポッドキャスト・インタビューの中でコロナワクチンの有効性を認めたが、マスク着用と接種の義務化には強く反対している。
ファウチ博士はトランプ前大統領が公開収録の中でブースターを接種したとカミングアウトした際、聴衆からブーイングが起こったことに驚いたと述べた。「それだけトランプ前大統領は一部のグループに支持されているのでしょう。彼は未接種者を後押しするでしょう...」