「米海軍兵学校」脅迫事件、士官候補生1人負傷、警察が捜査中 メリーランド州
同校は11日の午後5時頃、「脅威」が差し迫っているとして閉鎖され、士官候補生や職員が避難を余儀なくされた。
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米メリーランド州アナポリスの米海軍兵学校に脅迫が届き、士官候補生1人が負傷した事件について、軍当局は12日、この脅迫が匿名のチャットプラットフォーム上で行われたと明らかにした。
警察は11日にアナポリス海軍兵学校を閉鎖。異常がないか確認したところ、爆弾などの不審物は見つからなかったという。
ABCニュースは当局者の話しとして、「何者かが同校で銃を乱射するとチャットプラットフォームに投稿し、今回の封鎖に至った」と伝えている。
IPアドレスを調べたところ、このコメントは同校のコンピューターから投稿されていた。
同校は11日の午後5時頃、「脅威」が差し迫っているとして閉鎖され、士官候補生や職員が避難を余儀なくされた。
AP通信によると、その過程で士官候補生1人が撃たれ負傷したという。
APは軍当局者の話しを引用し、「捜査の過程で脅威と誤認された士官候補生が撃たれ、負傷した」と伝えている。誰が撃ったかは分かっていない。
アナポリス海軍兵学校(United States Naval Academy, USNA)はメリーランド州アナポリス市に所在する米海軍の士官候補生を養成するための四年制教育機関である。設立は1845年であり、当時の海軍長官ジョージ・バンカフトの主導によって創設された。
同校は米陸軍士官学校(ウェストポイント)、空軍士官学校(コロラド州)、沿岸警備隊士官学校(コネチカット州)と並ぶ、米国の四大士官学校の一つに位置付けられている。卒業生は「ミッドシップマン(Midshipman)」と呼ばれ、卒業後は少尉として海軍または海兵隊に任官される。学費はすべて政府が負担し、在学中も軍属として給与と福利厚生を受ける。
入学には厳格な選抜試験があり、多くの場合、上院議員や下院議員などからの推薦が必要となる。学業成績、リーダーシップ、身体能力、品行、面接結果などが総合的に評価される。
教育課程は理工系に重点を置きつつ、軍事戦略、指揮統率、倫理、歴史など幅広い分野を網羅しており、リベラルアーツ教育も重視される。学生生活は非常に厳格で、早朝の点呼、身体訓練、規律ある生活が課される。夏期には海軍艦艇での航海訓練もあり、実務に即した経験を積む。
また、スポーツも重視されており、海軍兵学校のアメリカンフットボールチーム「ネイビー・ミッドシップメン」は、陸軍士官学校との伝統的な「アーミー・ネイビー戦」で知られている。この試合は毎年全米の注目を集める。
同校は歴史的建築物が並ぶキャンパスを有し、「ザ・ヤード(The Yard)」と呼ばれる。校内には海軍博物館や記念礼拝堂もあり、歴史と伝統に彩られた環境の中で将来の軍指導者たちが育成されている。
著名な卒業生には、宇宙飛行士のアラン・シェパード、元大統領ジミー・カーター、ベトナム戦争の英雄ジョン・マケインなどがいる。
アナポリス海軍兵学校は単なる学術機関ではなく、国家に奉仕する精神と高度な専門性を兼ね備えた軍人を育成する場である。その存在は米国の軍事・外交・技術における中核的な役割を担っている。