◎スピリット航空の旅客機は11日、ポルトープランスの国際空港に着陸しようとした際、地上から銃撃を受け、隣国ドミニカへの迂回を余儀なくされた。
2021年9月22日/ハイチ、首都ポルトープランスの国際空港(ロイター通信)

米連邦航空局(FAA)は12日、フロリダ州から中米ハイチに向かっていた格安航空会社スピリット航空の旅客機が首都ポルトープランス上空で銃撃されたことを受け、ハイチ発着の便を30日間停止するよう航空各社に命じた。

FAAは声明で、「11月12日から少なくとも30日間、米国の航空各社のハイチ便は運航停止となる」と述べた。

スピリット航空の旅客機は11日、ポルトープランスの国際空港に着陸しようとした際、地上から銃撃を受け、隣国ドミニカへの迂回を余儀なくされた。

ハイチの航空当局はこの事件を受け、同空港の運用を少なくとも14日まで停止すると発表。閉鎖がいつまで続くかは不明である。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは2年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は先月初め頃から激化。中部アルティボニット県では地元で「グラン・グリフ」と呼ばれているギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

現地メディアによると、スピリット航空の旅客機は少なくとも4回、地上から銃撃を受けたという。

スピリット航空は11日の声明で、乗客にケガはなく、客室乗務員1人が軽傷を負い、空港内で医療評価を受けていると明らかにしていた。

航空機の位置を追跡するフライトレーダー24によると、この旅客機は地上170メートル付近まで高度を下げた後、大きく迂回している。

一方、ABCニュースは関係者の話しとして、「11日にハイチ発ニューヨーク行きのジェットブルー便(格安航空会社)も銃撃を受けた」と報じた。ケガ人の情報はない。

ジェットブルーは声明で、「12月2日までハイチ発着の全便を運休する」と発表した。

アメリカン航空も12日、前日にハイチ領空を飛行中の819便が銃撃を受けたと発表した。819便は無事フロリダ州マイアミに着陸したものの、点検で機体の外装に銃弾が当たった跡が残っていたという。

アメリカン航空は声明で、「FAAの決定に基づき、マイアミ・ポルトープランス間の運航を来年2月12日まで停止する」と述べた。

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