◎アフリカではこの数年、多くの国でクーデターが発生し、軍が政権を掌握。一部の国は西側との関係を断ち、ロシアに急接近している。
サハラ砂漠、イスラム国(ISIS)系組織の戦闘員(Getty Images)

軍制服組トップのブラウン(Charles Q. Brown Jr.)統合参謀本部議長は25日、アフリカ大陸で国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系組織による暴力が拡大しつつあり、西側諸国の脅威になる恐れがあると警告した。

ブラウン氏はボツワナで開催された米アフリカ国防級会合に出席。「ロシアの民間軍事会社ワグネル、テロ組織、国際犯罪集団などがアフリカで活動を活発化させ、地域の安全を脅かしている」と述べた。

アフリカではこの数年、多くの国でクーデターが発生し、軍が政権を掌握。一部の国は西側との関係を断ち、ロシアに急接近している。

ワグネルは米国やフランスが影響力を失う中、主に西アフリカで活動を活発化させ、軍政と共に民間人を巻き込みながらイスラム過激派を掃討している。

ブラウン氏はこの地域のテロの脅威に少ししか触れなかったが、会議では重要なトピックであり、アフリカのメディアから質問攻めにあった。

他の民主国家も米国が西アフリカ、ギニア湾、サハラ砂漠以南のサヘル地域で猛威を振るう過激派を食い止められるかどうかを知りたがっている。

アフリカで米国とその同盟国の国防級会合が行われたのはこれが初めてである。米軍の統合参謀本部議長がサハラ砂漠以南の国を訪問したのは1994年以来、約30年ぶりであった。

米国防総省はソマリアのイスラム過激派アルシャバーブとアルカイダ系組織JNIM(Jama'at Nusrat al-Islam wal-Muslimin)を最も資金力があり、最も規模が大きく、最も危険な組織とみなしている。

JNIMは軍政の統治下にあるマリ、ブルキナファソ、ニジェールで活動し、ベナンとトーゴへの進出を画策しているとされる。

米国防総省によると、JNIMはベナンとトーゴを休息、療養、資金調達、武器収集の拠点として利用しているが、軍事拠点はまだ設けていない。

アルシャバーブはアルカイダとつながりのある過激派のひとつで、ソマリア南部と中部の大部分を支配し、首都モガディシュ近郊まで支配地域を拡大したとされる。

米政府はアルシャバーブを「アルカイダ系列の最凶組織」と評している。

AP通信は米政府高官の話しとして、「アルカイダやISIS系組織は西アフリカとサヘルに重要な拠点を設置し、関係組織に対し、戦闘員の育成や指導を進めるよう指示を出している」と報じている。

その中には身代金目的で欧米人を誘拐する方法、より優れた軍事戦術を学ぶ方法、ドローンから身を隠す方法、小型クワッドローター(無線操縦できる4モーターのマルチドローンコプター)を自作する方法などが含まれているという。

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