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米国のエネルギー料金13%上昇、トランプ大統領の就任以降

環境問題に取り組む政策提言団体「クライメートパワー(Climate Power)」が米エネルギー情報局(EIA)のデータを分析した結果、2025年の電気料金は2024年と比べて全国平均で13%増加したことが判明した。
2025年10月5日/米バージニア州ノーフォーク、トランプ大統領(ロイター通信)

米国における家庭や企業のエネルギー請求額がトランプ(Donald Trump)大統領の就任以降大きく上昇していることが、最新の報告で明らかになった。

環境問題に取り組む政策提言団体「クライメートパワー(Climate Power)」が米エネルギー情報局(EIA)のデータを分析した結果、2025年の電気料金は2024年と比べて全国平均で13%増加したことが判明した。

このデータは12月15日に公表され、電気料金の上昇は単なる短期的な変動ではなく、需給と政策環境の変化が複合的に作用した結果だとしている。

報告によると、大規模データセンターの増加やAI技術の普及といった電力需要の急増要因が背景にあり、供給側が需要増に追いついていないことが価格上昇を促しているという。特に需要の伸びが供給能力の拡大を大きく上回っていることが、専門家の指摘として報告に盛り込まれている。

クライメートパワーは電力市場の需給バランスが崩れるなかで、トランプ政権がクリーンエネルギー源の導入や再生可能エネルギーへの支援を縮小したことが、中長期的な供給不足に影響している可能性を指摘している。報告では、計画されていた複数の再生可能エネルギー発電プロジェクトがキャンセルまたは遅延したことにより、2万4958.5メガワット分の電力供給が失われたと分析しており、これは約1317万世帯分の電力需要に相当するという。

また報告の分析によると、電気料金の上昇は特定の地域だけの現象ではなく、全国的な傾向として表れている。家庭向け・企業向けの両方で請求額が増加しており、特に冬季や高温時の冷暖房需要が高まる時期には電力使用がさらに増加し、支出の負担が一段と大きくなるとの警告が出されている。また、データセンターに代表される電力集約産業の成長が、需給ギャップをさらに広げる要因となっているとの分析も示されている。

この報告を受けて、民主党や環境団体はトランプ政権のエネルギー政策が電力コストの上昇に寄与していると批判。一方でホワイトハウス関係者は、現政権が低価格のエネルギー供給を実現するために規制緩和を進めていると反論しており、政策の成果について評価が分かれている。

ホワイトハウスは「バイデン前政権時代に導入された再生可能エネルギー優先政策が高コストにつながった」と主張しており、エネルギー価格の動向をめぐる論争が続く見通しだ。

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