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米国で電動アシスト自転車(eバイク)の規制進む、課題も


専門家は安全に利用するための基本的な対策の徹底を呼びかけている。
2023年7月25日/米ニューヨーク市、電気自転車に乗る男性(AP通信)

電動アシスト自転車(eバイク)の普及が世界的に進む中、その利便性の裏側で事故やケガの増加が問題となっている。高速走行が可能である一方、従来の自転車と同様の感覚で扱われがちなことから、重大事故につながるケースも少なくない。専門家は安全に利用するための基本的な対策の徹底を呼びかけている。

米国では2024年、14歳の少年が時速約40キロで走行中に歩行者と衝突し、相手に重傷を負わせる事故が発生した。被害者は頭部外傷などで一時は生命の危機に陥ったが、治療の末に回復した。この事故を契機に、当事者は規制強化を訴える活動を続けている。こうした事例は氷山の一角であり、eバイク関連の負傷者は近年急増している。研究によると、2017年以降、負傷件数はほぼ毎年倍増し、特に未成年の事故増加が顕著である。

背景には、eバイクの特性に対する理解不足がある。eバイクは電動モーターの補助により容易に高速に達することができ、機種によっては時速40キロ前後に達するものもある。そのため、運転者自身が速度感覚を誤りやすく、歩行者や自動車との衝突リスクが高まる。また、多くの国や地域で免許や保険、ヘルメット着用が義務付けられておらず、安全対策が個人任せになっている点も指摘される。

こうした状況を受け、医療機関や専門家は具体的な安全対策を提示している。最も重要なのがヘルメットの着用である。頭部外傷はeバイク事故における主要な死亡・重傷原因で、適切な保護具の使用が生死を分ける。さらに、前後ライトの装備や反射材の着用により、夜間や視界不良時の視認性を高めることも推奨されている。

運転方法の面では、防御的な走行が不可欠だ。自動車の動きを常に予測し、交差点や合流地点では減速するなど、事故を未然に防ぐ意識が求められる。また、飲酒や薬物の影響下での運転は判断力を著しく低下させるため厳禁である。さらに、速度制限を超えるような改造は危険性を高めるとして避けるべきだ。

初心者に対しては、まず自分の車体の性能を理解することが重要だと専門家は指摘する。取扱説明書を読み、加速特性やブレーキ性能を把握したうえで、交通量の少ない場所で練習することが望ましい。また、可能であれば専門店で購入し、適切な説明や試乗を受けることで安全性を高められる。

子どもの利用についても注意が必要である。十分に通常の自転車を乗りこなせない段階でeバイクに乗ると、速度への対応が難しく事故につながりやすい。保護者は交通ルールの理解や操作技術を確認したうえで使用を許可する必要がある。実際、一部の地域では年齢制限や速度規制の導入が進んでいる。

都市レベルでも規制強化の動きが広がっている。例えば米ミネソタ州の一部地域では、歩道での走行禁止や速度上限の引き下げが導入された。こうした措置は歩行者との衝突リスクを低減する狙いがあるが、一方で利便性とのバランスを巡る議論も続いている。

eバイクは環境負荷の低い移動手段として期待され、通勤や配送など多様な用途で利用が拡大している。しかし、その普及スピードに対して安全対策や制度整備が追いついていないのが現状である。専門家は「従来の自転車とは異なる乗り物として認識することが重要だ」と強調する。

利便性と危険性が表裏一体であるeバイクにおいては、利用者一人ひとりの意識が事故防止の鍵を握る。基本的な安全対策を徹底し、速度と責任を自覚した運転を行うことが、今後の普及社会において不可欠となる。

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