メキシコの麻薬王エル・チャポの息子が司法取引に応じ罪認める
シナロア・カルテルの幹部が司法取引に応じたのは初めて。
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メキシコの麻薬組織「シナロア・カルテル」の最高幹部である麻薬王エル・チャポことグスマン(Joaquin Guzman)受刑者の息子が司法取引に応じ、罪を認めた。現地メディアが11日に報じた。
それによると、オビディオ・グスマン・ロペス(Ovidio Guzman Lopez)は米国内で麻薬密売に関与したことを認めたという。シナロア・カルテルの幹部が司法取引に応じたのは初めてである。
司法取引の詳細は明らかになっていない。オビディオは終身刑を回避する見返りに、何かしらの情報を提供するとみられる。
検察はオビディオとその兄弟ホアキン・グスマン・ロペス(Joaquin Guzman Lopez)がシナロア・カルテルの派閥「ロス・チャピトス」を率い、合成麻薬フェンタニルなどを米国に密輸したと主張している。
米当局はロス・チャピトスが23年に驚異的な量のフェンタニルを米国に送り込んだと報告していた。
現地メディアによると、オビディオは司法取引の一環として、大量のコカイン、ヘロイン、メタンフェタミン、マリファナ、フェンタニルの生産と米国への密輸を監督したことを認めた。
またオビディオはシナロア・カルテルにおける指導的役割に関連した麻薬密売、資金洗浄、銃器関連罪についても罪を認めた。
2人の父親であるグスマンは25年間にわたり米国にコカインや他の麻薬を大量に密輸したとして、終身刑に服している。
オビディオは2023年にメキシコで逮捕後、米国に引き渡され、イリノイ州シカゴの連邦裁判所で資金洗浄、麻薬、銃器関連の罪で起訴された。
ホアキンも米国で勾留されている。
もうひとりの幹部である70代の「エル・マヨ」ことイスマエル・サンバダ(Ismael “El Mayo” Zambada)は昨年7月に米テキサス州で逮捕された。2人はいずれも無罪を主張している。
この3人の逮捕をきっかけに、シナロア・カルテルの本拠があるメキシコ北西部シナロア州では暴力が激化。カルテルの構成員など、数十人が死亡した。
トランプ政権は2月、シナロア・カルテルやその宿敵であるハリスコ新世代など、中南米の8つの麻薬組織を外国テロ組織に指定。今月初めにはロス・チャピトスも外国テロ組織に指定した。
フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性があり、その効果はモルヒネの100倍、ヘロインの50倍といわれている。