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米司法省がFRB議長の刑事捜査を開始、トランプ政権の圧力強まる

パウエル氏は11日夜の声明で、連邦検察がFRB本部に大陪審の召喚状を送付し、刑事訴追の可能性を示唆していると述べた。
米連邦準備制度理事会のパウエル議長(ロイター通信)

司法省が11日、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル(Jerome Powell)議長に対する刑事捜査を開始したことが明らかになった。パウエル氏は11日夜の声明で、連邦検察がFRB本部に大陪審の召喚状を送付し、刑事訴追の可能性を示唆していると述べた。この捜査は昨年夏に行われた議会証言に関連したものであると説明されたが、パウエル氏はこれを政治的圧力の一環であると強く非難している。

捜査の焦点となっているのは、ワシントンDCにあるFRB本部の約25億ドル(約3950億円)規模の大規模改修工事を巡る証言内容である。地元メディアによると、司法省はパウエル氏が議会での証言において、改修工事の内容や費用について不正確あるいは虚偽の説明を行った可能性があるとして、公式発言や関連支出記録の分析を進めているという。捜査は2025年11月、ワシントンの連邦検察トップの承認を受けて開始されたと伝えられている。

パウエル氏は声明で、司法省による召喚状発出と刑事訴追の「脅し」は、自身が示してきたFRBの独立性を損なわせる意図があると訴えた。特に、FRBが金融政策を決定する際に経済指標と証拠に基づく判断を行っているにもかかわらず、政治的な圧力や威嚇によって方向付けされようとしているとの見方を示した。またパウエル氏は、「このような前例のない措置は、連邦準備制度が今後も政治的圧力に影響されずに金利政策を決定できるかどうかという重要な問題に関わっている」と述べた。

今回の刑事捜査の発表は、FRBの長年にわたる独立性の象徴とされてきた制度の在り方に対する懸念を一段と深めるものである。FRBは通常、政治から距離を置き、中立的な立場でインフレ抑制や雇用最大化といった政策目標を追求してきたが、近年はFRBとトランプ政権との間で利下げ政策を巡る意見の対立が顕在化していた。トランプ(Donald Trump)大統領はこれまでFRBに対し金利の引き下げを強く求め、パウエル氏がこれに応じない姿勢を続けたことから、政権側とFRBの緊張が高まっていた。

こうした背景から、パウエル氏は自身の証言やFRBの行動は常に法令遵守と適正な情報公開に基づいていると強調し、捜査を政治的な「威圧」や「圧力」であると強く批判した。声明でパウエル氏は、「FRB議長は法律の下にあり、誰も法の上に立つ存在ではない。しかし、このような措置は広い文脈で、継続的な圧力と威嚇の一部として理解されるべきだ」と述べた。

なお、司法省は進行中の捜査について公にコメントしておらず、FRBに対して召喚状を送った事実以外の詳細は明らかにしていない。ただし、捜査に対する懸念は市場にも波及し、金融市場ではFRBの独立性が損なわれるとの見方から不安定な反応も出ていると報じられている。

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