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その「浄水器」必要ですか?専門家の見解を紹介


米国では水道水は連邦法「安全飲料水法」に基づいて管理され、各地の水道事業者が消毒や浄化処理を行っている。
水道のイメージ(Getty Images)

家庭で飲料水用の「浄水器」を使うべきかどうかは、多くの人が抱く疑問である。健康志向の高まりや化学物質への不安から浄水器の需要は増えているが、専門家は「必ずしも必要とは限らない」と指摘する。多くの地域では水道水は厳しい基準で管理されており、基本的には安全に飲める状態に保たれているからである。

米国では水道水は連邦法「安全飲料水法」に基づいて管理され、各地の水道事業者が消毒や浄化処理を行っている。塩素などの消毒剤を用いて有害な細菌やウイルスを除去するため、通常は健康に影響を与えるレベルの汚染はないとされる。専門家によると、米国の家庭の9割以上では安全性の観点から浄水器は必須ではないという。

ただし、浄水器を使用する理由は安全性だけではない。水道水に含まれる塩素やその副生成物は人体に害を与えるレベルではないものの、味や臭いに影響することがある。そのため、より飲みやすくする目的で浄水器を使う家庭は多い。特に活性炭を使った簡易的なフィルターは、塩素や臭い成分を減らす効果があり、家庭用のポット型浄水器などで広く利用されている。

また近年はPFAS(ピーファス)と呼ばれる化学物質への懸念も、浄水器への関心を高めている。PFASは「永遠の化学物質」とも呼ばれ、自然界で分解されにくく、長期間環境中に残る特徴を持つ。防水加工や食品包装、消火剤などさまざまな製品に使われてきたが、体内に蓄積し、がんや免疫機能への影響など健康リスクとの関連が指摘されている。

こうした物質を除去したい場合、より高性能な浄水装置が必要になる。専門家によると、逆浸透膜(リバースオスモシス)方式や高性能の活性炭フィルターはPFASを含む多くの汚染物質を減らすことができる。ただし、装置は高価になる場合が多く、設置やメンテナンスも必要となる。

浄水器を導入するかどうかを判断するには、まず自宅の水質を確認することが重要だ。水道事業者は通常、年1回の水質報告書(コンシューマー・コンフィデンス・レポート)を公開しており、そこには検出された物質や基準値との比較が記載されている。古い住宅や私設井戸を使う家庭では、水道管や周辺環境の影響で水質が変わる可能性があるため、独自の水質検査を行うことが勧められている。

さらに専門家は、浄水器を使う場合でも適切な管理が不可欠だと強調する。フィルターは一定期間で交換しなければ性能が低下し、逆に汚染物質が増える恐れもあるからである。

結局のところ、浄水器が必要かどうかは地域の水質や個人の安心感、味への好みなどによって変わる。水道水の安全基準を満たしている地域では必需品ではないが、味の改善や特定の化学物質への不安を減らす手段として利用する価値はある。専門家は、まず自分の住む地域の水質を確認したうえで、目的に合った浄水方法を選ぶことが重要だとしている。

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