コルチゾールをコントロールする必要がある?おそらくない
健康や美をめぐる情報発信者の中には、慢性的に高いコルチゾールが睡眠障害や腹部脂肪の蓄積、朝方に目が覚めるといった様々な不調の原因だと主張し、食事や運動、サプリメントで下げる方法を提案する例が増えている。
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米国で「コルチゾール(いわゆるストレスホルモン)」を意識的にコントロールすべきかという話題がインターネットで広がっているが、専門の医師らは多くの人がその必要を感じるべきではないと指摘している。健康や美をめぐる情報発信者の中には、慢性的に高いコルチゾールが睡眠障害や腹部脂肪の蓄積、朝方に目が覚めるといった様々な不調の原因だと主張し、食事や運動、サプリメントで下げる方法を提案する例が増えている。しかし、医師らはこのホルモンを「悪者」と決めつけるのは誤解だとして、安易にコントロールを試みるべきではないと述べている。
コルチゾールはアドレナリンのようなホルモンで、副腎と呼ばれる腎臓の上部にある器官から分泌される。体内では炎症や免疫機能、代謝、血圧調整など多様な役割を担い、日内リズムに応じて変動する。通常は朝に高く、夜に低くなる傾向があり、病気やストレス時にも上昇する。専門家は「コルチゾールは生存に不可欠であり、分泌は常に細かく調整されている」と説明する。
慢性的に極端な低下が続く「副腎不全」や、逆に高値が持続する「クッシング症候群」といったコルチゾール異常は存在するものの、これらは比較的まれな疾患であり、診断には慎重かつ専門的な検査が必要だ。副腎不全では慢性的な疲労、体重減少、低血圧、食欲不振などの症状が現れる一方、クッシング症候群では体重増加、高血圧、骨の脆弱化、顔や腹部の脂肪蓄積、異常な体毛増加、睡眠障害といった多様な症状が出る。いずれも複数の検査を通じて総合的に評価されるべきであり、専門医の監督無しに自己判断で検査を行うことは推奨されない。
医師らは一般の人々がネット上の自己診断キットや単発の血液検査に頼ることに懸念を示す。テキサス州ヒューストンの内分泌学者は、単回の血液検査では有益な情報が得られない場合が多く、特に経口避妊薬を服用している女性では薬の影響で偽の高値が出ることもあると指摘している。また、コルチゾールを低下させるとうたうサプリメント類についても、科学的根拠が乏しく、安全性が明らかでない製品が多いとして注意を促している。
加えて、過度にコルチゾールに焦点を当てるよりも、ストレスそのものへの対処が重要だと医師らは強調する。専門家は健康な生活の基礎である適切な食事、十分な睡眠、適度な運動、必要に応じた心理療法などがストレスの管理につながるとしている。こうした基本的な習慣の改善が、単一のホルモン値を気にするよりも有効であるという。
以上のように、多くの医師はインターネット上の情報に惑わされることなく、体調の変化を感じた場合は専門医と相談することを勧めている。一般的な健康維持のためにコルチゾールのみをコントロールする必要性は低く、科学的証拠に基づくアプローチが重要だ。
