マドゥロ裁判、法廷代理人をめぐり争いが勃発 米ニューヨーク市
マドゥロは麻薬密輸に関与したとして起訴され、1月5日にニューヨーク市の連邦地裁に出廷して無罪を主張したが、その直後から誰が法廷で彼を代表するのかをめぐる法的な火花が散っている。
.jpg)
米連邦裁判所でベネズエラのマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領を巡る弁護人選任をめぐる争いが表面化している。マドゥロは麻薬密輸に関与したとして起訴され、1月5日にニューヨーク市の連邦地裁に出廷して無罪を主張したが、その直後から誰が法廷で彼を代表するのかをめぐる法的な火花が散っている。
現在主たる弁護人として名を連ねているのは、国際的に著名な弁護士バリー・ポラック(Barry Pollack)氏である。ポラック氏はこれまでウィキリークス創始者アサンジ(Julian Paul Assange)氏の弁護も担当した経験があり、マドゥロ側の弁護団を率いている。ポラック氏は裁判でマドゥロと並んで出廷し、妻の代表権も担っている。だが、ここに別の弁護士が割って入ろうとしているとして、争いが起きているようだ。
対立しているのはブルース・ファイン(Bruce Fine)氏。ファイン氏はロナルド・レーガン政権下で司法省の副代理総長を務めた経歴を持つ法曹界の重鎮で、マドゥロの側近とされる人物や家族から依頼を受けたとして裁判への参加を申し出た。ファイン氏は判事に対し、マドゥロ本人の意思を直接確認すべきだと求める書面を提出している。これは、マドゥロが家族や関係者を通じて自分の代理人としてファイン氏を望んでいる可能性があるとの主張に基づくものだ。
これに対してポラック氏は、ファイン氏が正式な承認を得ずに裁判手続きに介入しようとしているとして強く反発している。ポラック氏は地裁に対し、ファイン氏の名を弁護人名簿から削除するよう求める手続きを行った。ポラック氏はマドゥロ本人と電話で連絡を取り、マドゥロがファイン氏のことを知らず、直接的なコミュニケーションや委任をしていないことを確認したと説明している。ポラック氏によると、正式な代理人としての委任はポラック氏自身に与えられており、ファイン氏にはその権限がないという。
一方でファイン氏は自身の申し立てについて、ポラック氏の主張を否定していないが、判事に対しマドゥロ本人の希望を直接確認することを提案している。ファイン氏は、マドゥロが勾留されている状況が「異常かつ驚くべき状況」であり、拘禁下での通信制限や言語の違いなどから誤解が生じる可能性があると指摘している。これにより、あらためてマドゥロ自身が誰を弁護人として望むのかを慎重に確かめるべきだとしている。
今回の争いは、単なる代理人の選任を超え、法廷戦術や被告の権利擁護のあり方をめぐる議論でもある。マドゥロは米軍によりベネズエラ・カラカスで拘束され、ニューヨークの連邦刑務所に収監された後、司法手続きに直面している。米側はマドゥロが麻薬カルテルと共謀して多数のコカインを米国内に密輸したとする容疑を提示し、マドゥロと妻はともに無罪を主張している。
弁護人選任の問題は今後の裁判手続きにも影響を及ぼす可能性があり、裁判所がどのような判断を下すかが注目されている。判事が被告本人と面会し弁護人の意向を確認するかどうか、また法的な正当性の確保に向けた手続きがどこまで徹底されるかが焦点となっている。現段階では、マドゥロの弁護団内部の混乱が法廷の進行にどのような影響を与えるかは不透明だが、司法制度における被告の権利保障と手続きの正確性が改めて問われる事態となっている。
