◎タイトル42は米国内で拘束された不法入国者を入国前の国に戻し、法に基づいた亡命申請の機会を与えるものである。
コロナの世界的な大流行を受けトランプ政権が施行したタイトル42が11日、期限を迎える。
AP通信によると、コロンビアとパナマの間にある危険な密林地帯「ダリエン地峡(Darien Gap)」を渡る多くの移民が人身売買組織が作ったとされるルートを通って米国を目指しているという。
しかし、そこを通る移民の大多数が米国の政策変更および、タイトル42が期限を迎えた後も亡命希望者の入国制限は緩和されないことを理解していないようだ。
ダリエン地峡では人身売買組織だけでなく、麻薬カルテルやギャングも暗躍している。専門家によると、そこを通過する際は泥棒、人身売買、レイプなどに警戒する必要があるという。
このルートは米国を目指す中南米の移民の主要ルートとなり、近年組織化され、比較的通過しやすくなったとされる。
移民たちはコロンビア側から地峡に入る。その入り口付近にはキャンプ場があり、地峡に入るためには通行料を支払う必要があるという。
キャンプには保健所があり、有料で荷物を運んでくれる荷物持ち(ポーター)までいる。コロンビアの区間には食べ物や飲み物を売る売店がある一方、パナマ側は整備されておらず、事故に遭う可能性が高いようだ。
APの取材に応じたベネズエラ人男性は10人の家族を連れてキャンプインした。男性は、「ベネズエラには未来も仕事もない」と語った。「米国のタイトル42が解除されることは知っていますが、それが何を意味し、自分たちにどのような影響が出るかは理解していません。しかし、私たちは米国に行くつもりです...」
パナマ当局によると、今年ダリエン地峡を渡った移民は10万人に達した。国連は年末までに40万人がそこを通過し、昨年の約25万人を大幅に上回る可能性があると警告している。
タイトル42は米国内で拘束された不法入国者を入国前の国に戻し、法に基づいた亡命申請の機会を与えるものである。
バイデン政権は今年1月、タイトル42終了後の混乱に対処する取り組みの一環として、不法入国者を減らす新たな規則を発表した。
この規則はキューバ、ハイチ、ニカラグア、ベネズエラの亡命希望者を毎月3万人受け入れ、2年間の労働許可を与えるとしているが、許可を得るためには身元確認を含む「正規の入国手続き」をクリアしなければならない。
タイトル42は5月11日に期限を迎える。人権団体はタイトル42とバイデン政権の規則を「非人道的」と非難している。