◎トランプ大統領は超党派が提案した9,000億ドルのCOVID-19経済救済法案に署名した。市民への直接支給は1人600ドル。
◎民主党のナンシー・ペロシ下院議長は、市民への直接支給を2,000ドルに増額する「新たな救済法案(第3弾)」を用意している。
COVID-19経済救済法案
・COVID-19経済救済法案:9,000億ドル
2020年12月20日、上下両院の指導者が合意に達する
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2020年12月21日、下院通過
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2020年12月21日、上院通過
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2020年12月27日、トランプ大統領署名
・コロナ援助、救済、および経済安全保障法(CARES法):2.2兆ドル(230兆円)
2019年7月下院通過
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2020年3月25日上院通過
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2020年3月27日下院、上院の修正に同意
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2020年3月27日トランプ大統領署名
12月27日夜、ホワイトハウスは声明で、「トランプ大統領は超党派が提案した9,000億ドルのCOVID-19経済救済法案に署名した」と発表した。
これにより、年収75,000ドル未満の市民に600ドルが直接支給され、コロナウイルスの影響で大打撃を受けた中小企業向けの支援、ペイチェック保護プログラム(PPP)も復活する。
トランプ大統領は1人600ドルを2,000ドルに修正したうえで、コロナウイルスと関係のない予算は削除しなければならないと主張し、法案への署名を拒否していた。ただし、「公式に拒否権を行使する」とは述べていなかったため、民主党のナンシー・ペロシ下院議長は、「大統領は28日までに署名する」と指摘していた。
トランプ大統領はホワイトハウスの公式発表後に声明を発表した。
ドナルド・トランプ大統領:
「私は無駄な予算は削除する必要がある、と議会に提案したうえで、救済法案に署名した。議会は私の要求通りに対処しなければならない」
ペロシ下院議長は法案成立を受け声明で、「署名を歓迎する。トランプ大統領は共和党議員に妨害を終わらせ、新たな支援を受け入れるように促すべきだ」と述べた。
民主党は、市民への直接支給を2,000ドルに増額する「新たな救済法案(第3弾)」を12月28日に下院に提出し、投票を行うと伝えられている。
ただし、共和党のミッチ・マコーネル上院院内総務が新たな救済法案に協力するかどうかは不明である。
ナンシー・ペロシ下院議長:
「新たな救済法案に反対する者は、経済的に追い詰められた市民を見殺しにする、と宣言することになる。市民はさらなる救済を必要としている」
COVID-19経済救済法案は2021年度の連邦会計予算に関連付けられており、トランプ大統領が署名していなければコロナ関連予算は12月28日深夜に失効していた。
同法案にはCARES法の残予算4,290億ドルも加算されるため、総予算は約1.4兆ドルになる。
パンデミック失業支援プログラムが継続されたことで、独立請負業者、自営業者、フリーランサー、ギグワーカーは、最大39週間分の支援を受ける資格を得た。
また、コロナウイルスの影響で働けなくなった市民(家族が感染もしくは検疫の対象になった人、学校閉鎖で子供の面倒を見なければならない人など)への支援も導入された。
パンデミック緊急失業補償プログラムは、州の支援だけでは生活できない家族に連邦政府が追加支援(13週間)を提供する。
そして、立ち退きモラトリアムは2021年1月31日まで延長され、収入を失った市民に賃借支援を提供する。トランプ大統領が署名したことで、自宅を失うと予想されていた数百万人はひとまず救われた。
トランプ大統領は1人600ドルの直接支給を「恥辱」と呼び、「超党派の法案には救済ではなく豚肉が詰まっている」と嘲笑していました。
予算の内訳
・大人と子供1人あたり最大600ドルの直接支払い
・中小企業への支援 ペイチェック保護プログラム(PPP):2840億ドル以上
・ライブ会場、独立した映画館、文化施設などへの支援:150億ドル
・失業手当:週300ドル
・立ち退きモラトリアム延長:250億ドル
・学校や大学などの教育機関への支援:820億ドル
・育児支援:100億ドル
・栄養支援プログラム:130億ドル
・リモート接続およびブロードバンドアクセス強化:70億ドル
・コロナウイルスワクチンの輸送費:80億ドル
・コロナウイルスワクチンの接種費用(市民への無料配布):200億ドル
・航空業界への支援:450億ドル
(空港に20億ドル、アムトラックに10億ドル、航空会社に160億ドル、その他)
・有給の病気休暇を提供する雇用主への支援:税額控除