米国25年12月消費者信頼感、関税導入以降の最低水準に低下
米シンクタンク「カンファレンス・ボード」が23日に公表した最新の消費者信頼感指数によると、12月の指数は前月の92.9から3.8ポイント低下して89.1となった。
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米国の消費者信頼感指数が12月に大幅に低下し、今年4月に大規模な関税が導入されて以降の最低水準に落ち込んだ。米経済に対する家計の信頼感が揺らぎ、物価や貿易政策、雇用環境への不安が強まっていることが背景にあるとみられる。
米シンクタンク「カンファレンス・ボード」が23日に公表した最新の消費者信頼感指数によると、12月の指数は前月の92.9から3.8ポイント低下して89.1となった。この数値は4月に記録した85.7に近く、関税が本格的に実施され始めた時期の水準と同等かそれを下回るレベルまで落ち込んでいる。
指数の内訳をみると、短期的な収入や事業環境、雇用見通しへの期待を示す指標は70.7と安定しているものの、依然として景気後退の可能性を示す80を大きく下回っている。これで11カ月連続で80未満の水準が続いており、将来に対する不安が根強いことを示している。
一方、現在の経済状況を示す評価は前月比で9.5ポイント低下し、消費者の景況感が大きく悪化したことを反映している。調査に寄せられた自由回答では、物価やインフレが依然として最大の懸念事項として挙げられたほか、関税政策への不安も目立った。
雇用市場に関する認識も悪化傾向が見られた。12月の調査で「雇用機会が多い」と回答した割合は26.7%にとどまり、11月の28.2%から低下。逆に「仕事を見つけるのが難しい」とした回答は20.8%と前月の20.1%から増加しており、雇用環境への懸念が強まっていることが窺える。
労働省のデータでは、11月には雇用が6万4000件増加した一方、10月には10万5000件の雇用喪失が報告され、失業率は4.6%と2021年以来の高水準に達した。こうした不安定な雇用統計も消費者心理を冷やしている可能性がある。
経済全体では2025年第3四半期(7~9月)に年率換算で4.3%の成長を記録したものの、第4四半期(10~12月)は政府機関の閉鎖や消費の減速などを背景に成長が鈍化すると予想されている。消費者の信頼感低下は今後の消費支出や景気動向に影響を及ぼす可能性があり、経済政策の行方が注目される。
専門家は物価上昇や関税政策、金利の状況といった複数の要因が消費者心理に重くのしかかっていると分析している。特に関税が輸入品価格を押し上げ、消費者の生活費負担を増やしているとの見方が多く、信頼感指数の低下は米国内で広範な経済不透明感が強まっていることを示すものといえる。
このように、物価や雇用、貿易政策への不安が複合的に作用し、米国民の経済見通しに影を落としている現状が浮き彫りになっている。今後の指標動向は2026年の米経済全般の安定性を占う上で重要な指標となるだろう。
