米国インフル悪化、FRBの利下げ可能性薄れる
背景にはエネルギー価格の上昇を中心とする物価圧力の強まりがある。
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米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに踏み切るとの市場の期待が後退している。最近のインフレ加速により、金融緩和に向けた環境が整っていないためであり、長期金利や住宅ローン金利の上昇などを通じて家計や企業の借入コストにも影響が広がっている。
背景にはエネルギー価格の上昇を中心とする物価圧力の強まりがある。中東情勢の緊張に伴う原油高がガソリン価格を押し上げ、インフレ率を再び上昇させている。これを受けて金融市場では、年内に利下げが実施されるとの見方が弱まり、逆に利上げの可能性を織り込む動きも出ている。ウォール街では10月までに利上げが行われる確率を25%程度とみる向きもある。
FRBの政策判断は物価安定と雇用最大化という二つの目標の間で難しいかじ取りを迫られている。インフレが高止まりすれば利上げが必要になるが、エネルギー価格の上昇は景気を冷やし、失業率を押し上げる可能性もある。このため当局者の間でも政策の方向性は定まっておらず、サンフランシスコ連銀のデイリー(Mary Daly)総裁は「最も可能性の高い金利の道筋は一つではない」と述べ、状況次第で対応を変える必要があるとの認識を示した。
インフレ率はFRBが目標とする2%を上回る水準が続く見通しで、民間エコノミストの中には3%台半ばまで上昇すると予想する声もある。物価の高止まりが続けば、政策金利は当面据え置かれる可能性が高く、結果として10年物国債利回りや住宅ローン金利が上昇しやすくなる。こうした長期金利の上昇は住宅市場や企業投資を冷やす要因となる。
企業活動にも影響が出始めている。調査によると、原油高に伴うコスト増加により企業の価格引き上げが続き、景気の伸びは鈍化している。雇用も弱含みとなり、FRBはインフレ抑制と景気下支えの両立という難題に直面している。戦争や資源価格の動向次第では、金融政策の不透明感がさらに強まる可能性がある。
このように、インフレ再燃によって金融緩和への道筋は遠のいている。市場では「高金利が長く続く」との見方が広がりつつあり、FRBの政策運営は一段と慎重さを求められている。
