◎米ミネソタ州デトロイトとオンタリオ州ウィンザーを結ぶアンバサダー橋は、両国の総貿易の約25%に相当する物資が毎日行き来している。
2月12日、カナダの警察当局はカナダと米国を結ぶ世界最大の国境吊橋で発生した混乱を終息させるために、取り締まりを強化した。
米ミネソタ州デトロイトとオンタリオ州ウィンザーを結ぶアンバサダー橋は、両国の総貿易の約25%に相当する物資が毎日行き来している。
政府のコロナウイルス対策に抗議するデモ、通称フリーダム・コンボイは首都オタワから全国に拡大し、アンバサダー橋を含む国境検問所の封鎖に発展した。抗議者たちはカナダと米国を行き来するトラック運転手にワクチン接種が義務付けられたことに反対している。
デトロイトは世界最大の自動車工業都市であり、今回の混乱でGM、トヨタ、フォード、クライスラー、ホンダの工場が部品不足によるシフトの変更や生産停止などに追い込まれた。
オンタリオ州の裁判所は11日、ウィンザー市と怒りに燃える自動車産業の訴えを認め、フリーダム・コンボイに撤退を命じた。自動車部品製造業者協会が提出した訴状によると、協会の損失は1日あたり5,000万ドル(約58億円)に達する見込みだという。
ウィンザー警察は裁判所の命令を受け、抗議者に強く撤退を促した。「国境通過を阻止する試みは犯罪であり、車両の差し押さえだけでなく刑事事件に発展する可能性があります...」
しかし、アンバサダー橋周辺に集まった抗議者たちは裁判所の命令を却下し、占領を続けると誓った。
カナダ放送協会(CBC)によると、警察は12日の早い時間にアンバサダー橋の入り口付近に止められていたバリケードを撤去したが、その後、多くの抗議者が現地に到着し、橋の通行再開は見送られたという。
橋の入り口付近を占領していたトラックには「フリーダム・トランプ2024」と書かれていた。運転手は12日の早い時間に警察官に取り囲まれ、撤退を余儀なくされた。AP通信によると、運転手は走り去る際、「フリーダム!」と叫び、他の抗議者から喝采を浴びたという。
ウィンザー警察は声明の中で、「すべての抗議者に合法的かつ平和的なデモと行動を呼びかける」と述べ、橋の通行を妨害する行為は違法であり、取り締まりの対象になると警告した。
首都オタワの中心部でも数百人のデモ隊が抗議を続けている。米モンタナ州とアルバータ州の国境検問所は2週間前、米ノースダコタ州とマニトバ州の国境検問所は先日封鎖された。
ジャスティン・トルドー首相は11日にジョー・バイデン大統領と電話で協議し、国境の混乱を速やかに解消することで合意した。
トルドー首相は電話会談後の記者会見で抗議者たちに帰宅するよう強く促し、法を犯せば厳しい現実に直面すると警告した。「法を犯せば免許を失い、仕事を失い、前科がつき、米国への旅行も制限されるかもしれません...」
CBCによると、トルドー首相は12日に事件を担当する委員会の顧問と今後発生しうる問題について協議する予定だという。
しかし、アンバサダー橋の周辺で抗議している人々は最悪の結果になったとしてデモを続けるつもりだと述べた。
フリーダム・コンボイに寄付したという女性はCBCの取材に対し、「かかってこい」と述べた。「私たちが判決を気にすると思いますか?罰金を気にすると思いますか?私が罰金を払うとでも?いいえ。トルドーはカナダ人の権利を侵害しています。すべて終わらせる必要があります」
オンタリオ州の州首相は11日、非常事態を宣言したうえで、「道路、橋、歩道などの重要インフラを違法に占領した者は10万カナダドル(約900万円)の罰金刑と1年以下の懲役刑を科される可能性がある」と警告した。首都オタワも非常事態を宣言している。