◎ジャスティン・トルドー首相は14日に緊急事態法を発動し、警察の権限を強化した。
2022年2月17日/カナダ、首都オタワの抗議デモ(Justin Tang/The Canadian Press/AP通信)

2月17日、カナダの警察は首都オタワの中心部で続いている抗議デモの参加者に「まもなく取り締まりを強化する」と警告した。

連邦政府と州政府のコロナウイルス対策に抗議するデモ、通称フリーダム・コンボイによる国境封鎖騒動は何とか解消したが、オタワの緊張状態は続いている。

抗議者たちはカナダと米国を行き来するトラック運転手にワクチン接種が義務付けられたことに反対している。

ジャスティン・トルドー首相は14日に緊急事態法を発動し、警察の権限を強化した。一部の地域では法の発動を受け、市民集会を禁止するなどの措置を取っている。

オタワ警察の署長は17日の記者会見で抗議者に「今すぐ立ち去りなさい」と警告した。

カナダ放送協会(CBC)によると、オタワ警察は市街地に安全地帯を設け、抗議会場になっているビジネス街や住宅地の周辺に検問所を100箇所ほど設置したという。

検問所の内側に入る際は身分証の提示を求められ、合法的な理由のある人だけが立ち入りを許可される。

主要な抗議グループは中心部の議会議事堂周辺に集まっており、CBCによると、17日時点で約400台のトラックが警察の退去勧告を無視したという。

オタワ警察の署長はいつ取り締まりを強化するかを明らかにしていないが、今週末に何かしらの措置を取ると示唆している。

先週末は平日もデモを続けている数百人に市外の抗議者数千人が合流した。

署長は記者団に対し、「今週末はこれまでとは全く異なるものになるだろう」と述べた。

一方、トルドー首相は17日、議会下院で緊急事態法の必要性を説明し、政府の決定を擁護した。一部の野党議員はトルドー首相が緊張状態を悪化させていると非難している。

トルドー政権は来週初めまでに上下両院の事後承認を得る必要があり、どちらかが否決すればその時点で緊急事態法は取り消される。

野党保守党のバーゲン党首は、緊急事態法の発動を「前例のない鉄槌」と呼び、非難した。

野党は政府のコロナ対策を批判し、フリーダム・コンボイをおおむね支持していたが、国の基幹産業である自動車業界に影響が及んだことで対応を一変させた。しかし、国境問題はすでに解消しているため、再びデモ隊側についた。

カナダ自由人権協会は17日、緊急事態法を差し止めるために政府を提訴すると発表した。

抗議会場に子どもを連れてきたり、燃料や食料などの物資でデモ隊を支援する個人や団体は罰金や懲役刑を科される可能性がある。

また銀行やその他の金融機関(信用組合、仮想通貨取引所など)はデモに関与する人々との取引を停止するよう命じられており、フリーランド副首相は一部の組織の銀行口座を凍結したと明らかにした。

政府は個人の銀行口座および車両保険も停止する可能性があると警告している。

フリーランド副首相は記者会見の中で、「結果は現実のものであり、その影響は大きい」と述べた。

CBCによると、デモ隊の中にはネオナチを彷彿とさせる過激派が複数おり、一部地域の集会はコロナワクチンではなく反政府・反権力集会になっているとのこと。アルバータ州の国境検問所で逮捕された4人は警察官の殺害を計画した罪で起訴された。

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