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カナダ25年第3四半期GDP成長率+2.6%、予想外の高成長

統計局が28日に発表したデータによると、GDPの年率換算成長率は2.6%増。これは市場予測の0.5%を大きく上回る数字であり、前期のマイナス1.8%(改定値)からの反動もあって、「景気後退」を回避する結果となった。
2025年3月12日/カナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー(ロイター通信)

カナダの経済が2025年第3四半期(7~9月)に予想を上回る力強い伸びをみせた。

統計局が28日に発表したデータによると、GDPの年率換算成長率は2.6%増。これは市場予測の0.5%を大きく上回る数字であり、前期のマイナス1.8%(改定値)からの反動もあって、「景気後退」を回避する結果となった。

今回の成長の牽引役となったのは原油・ビチューメン(石油関連)輸出の増加と、政府による資本支出の拡大だ。特に輸出部門では、輸出額が6.7%上昇した。

さらに、政府の設備投資は前期比で2.9%増加し、防衛装備や病院などの非住宅施設向け支出が目立った。これらが企業収益や公共インフラへの投資を押し上げた。

だが、内需は弱さを見せている。企業の設備投資は横ばいにとどまり、家計消費は0.1%の微減。また新築住宅の建設も0.8%減少しており、消費や民間投資が全体を押し上げるには至っていない。

これらを踏まえ、今回のGDP伸びは輸入の大幅な落ち込みによる「貿易バランスの改善」が大きく寄与した側面が強く、経済の基盤が完全に回復したとは言えないとの分析もある。

月次ベースでは、9月のGDPは前月比で0.2%増。主に製造業の生産が1.6%伸びたことが貢献した。一方で、速報値によると、10月のGDPは0.3%のマイナスと見込まれており、第4四半期(10~12月)の滑り出しはやや不安を残す。

この結果は中央銀行が12月10日に予定している金融政策決定会合に影響を与える可能性がある。今回の好調により、利下げは見送られるとの見方が強まっている。

一方で、今回の数字には注意点もある。統計局は、外国との貨物貿易データの一部が、最近の米政府機関閉鎖の影響で利用できなかったため、数値が来年2月に改定される可能性があると注記。将来の見通しには慎重な姿勢が求められている。

総じて、第3四半期は予想外の回復を示し、カナダ経済は一時的な停滞から脱した可能性がある。しかし、輸入減による需給ギャップの調整や、輸出の一本足打法、そして家計・企業の低迷を見ると、内需主導の安定した成長にはなお時間を要するとの見方が有力だ。今後の消費動向や第4四半期のデータに注目が集まる。

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