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カナダのサービス業縮小続く、米イラン戦争が企業活動に影響 26年4月


カナダ経済は資源価格や対外貿易の影響を受けやすい構造にあり、今回のような地政学リスクの高まりは直接的な打撃となる。
カナダ、首都オタワのファストフード店(ロイター通信)

カナダのサービス業が縮小を続けており、中東での戦争による不確実性が企業活動に影響を与えている。4月6日に公表された民間調査によると、同国のサービス部門は3月も景気後退局面にとどまり、顧客の意思決定の遅れが需要低迷の主因となっている。

S&Pグローバルが発表したサービス業購買担当者景気指数(PMI)では、3月の事業活動指数は47.2となり、前月の46.5からわずかに改善したものの、景気の拡大・縮小の分岐点である50を下回った。これでサービス業の縮小は5カ月連続となる。指数が50未満であることは業況の悪化を意味する。

背景には中東情勢の緊迫化がある。米イラン戦争の長期化で先行き不透明感が強まり、企業や顧客が投資や契約の判断を先送りする傾向が広がっている。S&Pグローバルは「不確実性の高まりが顧客の意思決定を遅らせている」と指摘、これが新規受注の減少につながっている。

指数は依然として50を下回り、16カ月連続で縮小圏にある。ただし、減少ペースはやや緩和しており、底打ちの兆しを指摘する見方もある。

コスト面でも企業への圧力が強まっている。戦争の影響で原油価格が上昇し、燃料費や輸送費が増加したことから、投入コスト指数は62.3と大きく上昇、2025年6月以来の高水準となった。こうしたコスト増は企業収益を圧迫し、サービス価格への転嫁や需要抑制の要因となっている。

さらに、カナダ経済は外部要因にも揺さぶられている。米国による関税措置やUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の見直しを巡る不透明感も企業活動の重荷となっている。こうした複合的な不確実性が投資意欲を鈍らせ、サービス業の回復を遅らせている。

一方で、将来に対する期待が完全に失われたわけではない。企業の景況感を示す将来活動指数は61.9で6カ月ぶりの高水準となり、戦争が早期に収束すれば需要が回復するとの見方も広がっている。企業側には現在の停滞が一時的なものであるとの期待が残っている。

製造業でも同様の傾向が見られ、景気は停滞気味である。サービス業と製造業を合わせた総合PMIも50を下回り、経済全体として弱含みの状態が続いている。

カナダ経済は資源価格や対外貿易の影響を受けやすい構造にあり、今回のような地政学リスクの高まりは直接的な打撃となる。特にサービス業は需要の心理的側面に左右されやすく、不確実性の増大が即座に業況悪化として表れる特徴がある。

今回の調査結果は戦争が遠隔地であっても世界経済を通じて影響が波及する現実を示している。カナダのサービス業は依然として回復の糸口を模索している段階で、今後の動向は中東情勢の行方や国際経済環境に大きく左右される見通しである。

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