◎ジャスティン・トルドー首相は先月、議会の議席の過半数獲得を目指して早期解散に踏み切ったが、多くの有権者がコロナ禍の選挙に反対した。
カナダ自由党を率いるジャスティン・トルドー首相は、保守党のライバル、エリン・オウトゥール党首との厳しい戦いに直面している。
トルドー首相は先月、議会の議席の過半数獲得を目指して早期解散に踏み切ったが、多くの有権者がコロナ禍の選挙に反対した。
投票日は9月20日。
カナダ自由党は2019年の総選挙で過半数を失い、法案の可決には反対派の支持が必要不可欠になった。
<2019年のカナダ連邦選挙:定数338>
カナダ自由党 157議席(中道~中道左派)
カナダ保守党 121議席(保守)
ブロック・ケベコワ 32議席(中道左派)
新民主党 24議席(中道左派)
緑の党 3議席
カナダ放送協会(CBC)の最新の世論調査によると、自由党と保守党は大接戦を演じているという。トルドー首相はコロナ禍の真っただ中に早期解散に踏み切った理由を正当化できておらず、多くの批評家が自分の野心を達成するために解散したと非難し続けている。
しかし、トルドー首相はコロナウイルス対策の成果が選挙結果に反映されると賭け、勝負に出た。
カナダの症例数と死亡者数は他の大国に比べるとはるかに少ない。トルドー首相は経済を支えるために数千億ドルを費やし、国民の生活を支えてきた。また、コロナワクチンの接種率はG7をリードしている。
<カナダのワクチン接種率:9月17日時点>
少なくとも1回接種:12歳以上の84.89%
少なくとも1回接種:総人口の74.44%
接種完了:12歳以上の78.54%
接種完了:総人口の68.72%
トルドー首相は保守党のコロナ政策を批判し、カナダ人は科学に従うべきと主張している。オウトゥール党首は党の候補者にワクチン接種を要求せず、接種していない候補者の数も明らかにしていない。
トルドー首相は10月末までに官僚、輸送業務に従事する労働者、カナダ全土の航空および鉄道旅行者にコロナワクチン接種を義務付けると発表したが、保守党はこの政策に強く反対した。
トルドー首相は保守党が運営するアルバータ州の悲惨な感染状況を厳しく批判している。同州のジェイソン・ケニー州首相は先日、数日以内に州の集中治療室と病室は満室になるかもしれないと述べ、危機を招いたと認め謝罪した。同州のコロナ規則は2カ月前にほぼ解除されたが、ケニー州首相はワクチンパスポートの導入を許可し、厳しい外出禁止令を再発出した。
一方、オウトゥール党首はケニー州首相のコロナ対策を称賛し、アルバータ州の対策は連邦政府より優れているという攻撃的な選挙広告を掲載した。
オウトゥール党首は先日、カナダを取り戻すと誓い、「青い(リベラルな)保守派」を目指すと宣言した。保守党の選挙広告によると、オウトゥール党首はかつてカナダを殺すと批判した炭素税を支持し、銃の取り扱いに関する党の立場を逆転させ、自由党の銃規制政策を維持すると有権者に約束したという。しかし、石油、天然ガス、火力発電所、銃を好む一部の極右はオウトゥール党首の政策に失望した。
CBCの世論調査によると、保守的な国民党は支持率を伸ばしているが、保守党は数ポイント落とし、自由党にリードを許したという。オウトゥール党首のリベラル派を意識した政策が支持率の低下につながったと指摘されている。
オウトゥール党首は17日の記者会見で、「保守派の支持率が伸びていることは好ましいが、政権を奪取できるのは保守党だけだ」と述べた。
極右と思われる反ワクチン団体はトルドー首相の選挙活動を何度も妨害し、首相に砂利を投げつけた構成員1人が先日逮捕された。
<CBCの世論調査:9月18日時点>
カナダ自由党 31.6%
カナダ保守党 31.1%
新民主党 20.1%
ブロック・ケベコワ 6.6%
国民党 6.5%
緑の党 3.1%