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米カリフォルニア州で重症化リスクが高いM痘(エムポックス)検出

M痘は中央・西アフリカでよくみられる感染症のひとつ。1970年にコンゴ民主共和国で初めて検出された。
M痘(エムポックス)のサンプル(Getty Images)

カリフォルニア州で渡航歴のない男性から重症化リスクの高いM痘(エムポックス)ウイルスが検出された。保健当局が16日、明らかにした。

それによると、この男性はロングビーチ在住で、入院治療を必要としたが、現在は自宅で隔離・回復中とのこと。

それ以上の詳細は明らかにされていない。

保健当局によると、今年米国で確認された重症化株の症例はこれで7人目。渡航歴がない人の感染は今回が初めてである。

M痘は中央・西アフリカでよくみられる感染症のひとつ。1970年にコンゴ民主共和国で初めて検出された。

重症化リスクは低く、感染者の大半は数週間で回復する。

死亡率は地域の医療体制によって異なるが、概ね1~3%ほど。潜伏期間は7~21日で、ほとんどの患者が10~14日で発症する。空気感染を起こした事例は確認されていない。

カリフォルニア州当局は一般市民へのリスクは低いと説明。保健当局が調査を実施中であるとした。

世界保健機関(WHO)は先月、アフリカ大陸におけるM痘の感染が収束しているとして、「公衆衛生上の緊急事態」の宣言を終了すると発表した。

M痘はポックスウイルス科オルソポックスウイルス属に属するM痘ウイルスによって引き起こされる感染症。M痘ウイルスには遺伝的な違いに基づいて大きく二つのクレイド(系統)、クレイドI(旧コンゴ盆地系統)とクレイドII(旧西アフリカ系統)が存在する。

クレイドIは主にコンゴ民主共和国を中心とする中央アフリカ地域で検出されており、致死率が最大で10%に達するなど、より病原性が高い。一方、クレイドIIは西アフリカ地域に見られ、致死率は1%未満とされ、クレイドIよりも軽症例が多い。

2022年以降に報告された世界的なM痘の流行では、主にクレイドIIに属する系統(特にサブクレイドIIb)が関与している。これにより、感染拡大の様式や重症度に関する理解が進み、ワクチンや治療法の開発にも影響を与えている。

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