米カリフォルニア州で「野生キノコ」中毒相次ぐ、1人死亡
州保健局によると、7日時点で21件の中毒症例が確認されており、うち少なくとも成人1人が死亡、さらに複数人が重い肝臓障害を起こし、入院している。
.jpg)
米カリフォルニア州で野生キノコの摂取による中毒の集団発生を受け、州当局が住民に対して厳重な注意を呼びかけている。
州保健局によると、7日時点で21件の中毒症例が確認されており、うち少なくとも成人1人が死亡、さらに複数人が重い肝臓障害を起こし、入院している。
中毒の原因として疑われているのが強い毒性を持つアマニタ・ファロイデス(Amanita phalloides)──通称「デスキャップ(Death Cap)」である。見た目や味が食用のキノコにそっくりであるため、誤認されやすく、調理・加熱・乾燥・冷凍などを行っても毒性は消えない。
カリフォルニア州保健局は声明で、「デスキャップは肝不全を引き起こす可能性のある致命的な毒を含む。安全なものと誤認されやすいため、この高リスクの季節には野生キノコの採取は一切控えるよう呼びかける」と警告した。
今回の事案では、中毒例の多くがカリフォルニア中部のモントレー郡およびサンフランシスコ・ベイエリアで報告されているが、州当局は「危険は州全体に広がっている」と指摘している。
湿った天候が続くこの季節、デスキャップは特にオークや松などの広葉樹の根元付近で発生しやすく、雨の後に生えやすいという。
中毒の初期症状としては、摂取から6〜24時間以内に下痢、激しい嘔吐、吐き気、腹痛、脱水などの胃腸症状が現れることがある。これらの症状は1日程度で収まることもあるが、見た目の回復に安心せず要注意とされる。48〜96時間後に肝臓への深刻な影響や肝不全を起こす可能性があるためだ。
カリフォルニア州保健局は野生キノコの採取を避け、市販や信用できる販売源からの購入に限るよう強く推奨している。さらに、万が一、摂取後に体調不良があれば、同州の毒物管理システムへ直ちに連絡するよう呼びかけている。医療機関にも疑わしい中毒例の診断・治療に関して同機関へ相談するよう通知が出されている。
報道によると、毒性キノコの誤食による中毒はカリフォルニア州内でこの数年、数千件単位で起きており、特に子どもが誤って口にするケースが目立っている。2023年には未確認キノコの誤食による事故が4500件以上に上った。こうした背景から、専門知識や経験がない場合の「自己流キノコ採取」は非常に危険だと、専門家は警鐘を鳴らしている。
当局は「色や形だけでは安全かどうか判断できない」「加熱しても毒は消えない」「見た目が良くなっても肝臓のダメージは進行する可能性がある」と注意を促す。特に雨後は見た目の良いキノコが多数出やすく、誤認リスクが高まるため、一般人による野生キノコの採取は避けるべきだとしている。
