バーニングマン殺人事件、凶器見つかる、容疑者逃走中 米ネバダ州
この事件は8月30日の午後9時過ぎに発生。「血まみれの男性が倒れている」と警察に通報が入った。
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米ネバダ州のフェスティバル「バーニングマン」で男性が殺害された事件について、バーシング郡保安官事務所は18日、凶器とみられるナイフを発見したと明らかにした。
この事件は8月30日の午後9時過ぎに発生。「血まみれの男性が倒れている」と警察に通報が入った。
保安官代理らが現場に急行し、ロシア国籍の男性(37歳)の死亡を確認した。
バーシング郡保安官事務所は声明で、「男性の殺害に使われたとみられるナイフを発見した」と明らかにした。
それによると、男性はこのナイフで首を切られ、失血死したという。
保安官事務所はナイフをどこで発見したかは明らかにしていない。
容疑者は逃走中。保安官事務所と州捜査局が行方を追っている。
地元警察によると、捜査を開始して以来、数百件の情報提供が寄せられたという。
バーニングマンはネバダ州のブラックロック砂漠で毎年夏に開催される大規模なアート・コミュニティ・フェスティバルである。1986年にカリフォルニア州サンフランシスコのビーチで高さ数メートルの木製人形を燃やす小規模なイベントを行ったのが始まりとされる。その後、参加者の数は年々増え、1990年代以降はブラックロック砂漠に会場を移し、数万人が集まる一大イベントへと発展した。
バーニングマンの特徴は単なる音楽フェスティバルではなく、参加者自身が主体的に空間や体験を創り出す点にある。会場には「ブラックロックシティ」と呼ばれる一時的な都市が出現し、アート作品、テーマキャンプ、パフォーマンス、ワークショップなどが展開される。参加者は観客ではなく「住人」として扱われ、自分の表現を持ち寄り、他者と共有することが重視される。
運営理念には「10の原則」があり、無条件の参加、贈与の精神、脱商業主義、自己表現、共同体への責任などが掲げられている。特に「ギフティング」の文化は特徴的で、金銭のやり取りは禁止され、食べ物や飲み物、サービス、アートが無償で交換される。これは資本主義的消費文化とは異なるコミュニティの理想を体現している。
イベントのクライマックスは巨大な木製の人形「ザ・マン」を燃やす儀式であり、これが「バーニングマン」という名前の由来となっている。炎上する人形は再生や解放を象徴し、参加者に強い印象を残す。また、最終日には「テンプル」と呼ばれる建築物も燃やされ、人々が追悼や祈りを込めたメッセージを残した後に炎に帰すという儀式が行われる。
一方で、砂漠という過酷な環境もバーニングマンの重要な要素である。日中の灼熱、夜間の寒冷、突発的な砂嵐といった自然条件の中で、参加者は自己責任で水、食料、生活用品を持参しなければならない。この「自己充足」の原則は、参加者に自立心を求めると同時に、共同体の連帯感を高める役割を果たしている。
バーニングマンはアートとカウンターカルチャーの象徴として国際的に注目を集め、世界各地で類似イベントが開催されるようになった。しかし一方で、近年は高額な参加費や富裕層向けの快適なキャンプが出現し、当初の反消費主義的な理念との乖離が指摘されてもいる。それでも、バーニングマンは依然として「一時的な理想社会」を体験できる場として、多くの人々を魅了し続けている。