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ボーイング労組、会社が示した新たな契約案を拒否、スト続く

契約満了に伴う新たな労使交渉が難航したことが直接の発端となった。
2019年6月17日/フランス東部で開催された航空ショー(Michel Euler/AP通信)

航空大手ボーイングの軍用機や兵器を開発する中西部3工場でストライキを続けている労働組合が新たな契約案を拒否した。

現地メディアによると、労組は12日に会社側が示した契約案を採決し、57%が反対に投じたという。

このストは8月4日から始まり、戦闘機、兵器システム、米海軍初の空母搭載無人機を製造する3200人が参加している。

労組の書記長は声明で、「会社の修正案には他のボーイング従業員が受け取ったものと比較して十分なボーナスが含まれておらず、福利厚生の引き上げもなかった」と述べた。

会社は、「労組が45%の賃上げを含む5年契約を拒否したことに失望している」と声明を出した。

25年8月、ボーイングの防衛・宇宙部門で労組によるストが始まった。このストに参加したのは国際機械工・航空宇宙労働組合(IAM)ディストリクト837に所属する約3200人の組合員であり、ミズーリ州セントルイス近郊やイリノイ州マスコーターにある工場でF-15、F/A-18戦闘機、T-7A練習機、ミサイルシステムなどを製造する熟練工たちである。

契約満了に伴う新たな労使交渉が難航したことが直接の発端となった。会社側は賃金の段階的上昇や休暇制度の一部改善などを提示したが、組合は「昇給ペースが遅すぎる」「ベテラン労働者への待遇が不十分」「署名ボーナスが削除された」などを理由に不満を強め、提示案を否決した。その結果、8月4日午前0時をもって組合員が一斉に職場を離れ、1996年以来となる大規模なストが開始された。

交渉の中心は賃金体系と昇給制度、退職給付や401(k)福利厚生への企業拠出、病欠・休暇制度など幅広い労働条件であり、組合側は単なる賃上げ以上に「待遇の公平性」と「将来の生活保障」を重視している。

ストの長期化に直面したボーイングは生産遅延を避けるために「永久代替労働者」を雇用する姿勢を示し、これに組合が反発して対立が一層激化した。9月には会社が5年契約で平均45%の賃上げ、4000ドルの一時金、福利厚生改善などを含む新案を提示し仮合意に至ったが、組合員投票で過半数が拒否し、解決には至らなかった。このストは米防衛産業の納期や信頼性に影響を及ぼす可能性があり、ボーイングの経営と労使関係にとって大きな試練となっている。

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