◎ロシアによるウクライナ侵攻は24日で開戦から1年を迎えた。
米国のバイデン(Joe Biden)大統領は24日、ABCニュースのインタビューで「ウクライナに米防衛機器大手ロッキード・マーチン社のF16戦闘機を供与することは今のところ考えていない」と述べた。
ロシアによるウクライナ侵攻は24日で開戦から1年を迎えた。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は西側の同盟国に戦闘機と長距離ミサイルの供与を求めている。
バイデン氏は「ウクライナの防衛にF16は必要だと思うか?」という質問に対し、「思わない」と答えた。
またバイデン氏は「ウクライナの防衛に必要になるものを事前に知ることはできないが、現時点でF16が必要だとは思わない」と述べた。
バイデン氏は「現時点ではF16は除外している」と述べる一方、「ウクライナがロシアを倒すために必要な支援を提供するという米国のコミットメントは微塵も揺るがない」と強調した。
「米軍は現段階ではF16より他の支援が重要だと考えています...」
バイデン氏は「米軍はウクライナの経験豊富な部隊が今必要としているものを送っている」と述べた。「戦車、大砲、ハイマース(高軌道ロケット砲システム)、その他の防空システム。ウクライナ軍はこれらの兵器を必要としています...」
ゼレンスキー氏はこの数カ月、米国と欧州の同盟国に戦闘機の供与を繰り返し要請してきた。
ポーランドのモラウィエツキ(Mateusz Morawiecki)首相は24日、ウクライナの首都キーウを訪問し、独製戦車「レオパルト2」4両をウクライナに引き渡したと発表。さらに、ウクライナ軍に対してF16戦闘機の飛行訓練を実施すると表明した。
専門家によると、戦闘機を実戦で飛ばすためにはどんなに急いでも数カ月訓練が必要だという。ウクライナ軍は旧ソ連時代の戦闘機を主に使用しており、欧米製の戦闘機の操作に慣れていない。
ロシア軍は東部ドンバス地域への攻勢を強めているとみられる。ウクライナ政府は大規模攻勢の可能性を指摘したうえで、戦闘機の必要性を繰り返し訴えてきた。
しかし、西側政府は戦闘機の供与がロシアを追い詰め、紛争の激化につながり、最悪の場合、近隣のNATO加盟国を巻き込む可能性も否定できないとしている。
バイデン氏は先月、記者団に対し、ウクライナにF16を送ることはないと述べ、ゼレンスキー氏の支援要請を却下したものの、ブリンケン(Antony Blinken)国務長官ら政府高官は「議論の余地が全くないわけではない」と述べている。
バイデン氏は今週、キーウを電撃訪問した際、4億6000万ドル規模の追加軍事支援とロシアのエリートや企業に対する追加制裁を発表すると明らかにした。そして24日、米政府はバイデン氏が言及した支援を含む20億ドル規模の追加支援を発表した。